欧州企業の4分の3が自社事業かサプライチェーンで水リスクに直面――NPO調査

英国の非営利団体Carbon Disclosure Project(CDP)が2014年3月22日、報告書『欧州の水資源を守る』を発表し、「水問題で、短期的、長期的な収益に深刻な影響を受けている欧州企業が増えている」と指摘した(以下のリンクに、Safeguarding Europe’s Water Resourcesの原文掲載)。
https://www.cdp.net/CDPResults/CDP-EU-water-report-2014.pdf

CDPは2013年、企業の抱える水問題の透明化を求める世界の機関投資家530社(資産総額約57兆ドル〔約5,700兆円〕)の委託を受け、世界の大手企業1,036社に対し、水利用情報の公開を請求した。スポンサーである世界の機関投資家などに、投資判断のための価値ある証拠と知見を提供するのが目的である(以下のリンクに、その報告書CDP Global Water Report 2013の原文掲載)。
https://www.cdp.net/CDPResults/CDP-Global-Water-Report-2013.pdf

今回の報告書は、これに回答した水依存産業部門の欧州上場企業70社を対象に、内容を分析した。その結論のあらましは次のとおりである。

  1. 回答した欧州企業の83%が、「水ストレス地域に事業場を置いている」と報告した。同73%が、「自社事業か、サプライチェーンのいずれかが、水リスクに晒されている」と報告した。「水リスクの影響が今すでに出ているか、今後5年以内に出てくると予想している」との報告が最も多かった部門は、公益事業(100%)、材料関連(100%)、健康管理関連(83%)であった。
  2. 回答した欧州企業の96%が、「水管理の指針、計画または戦略を社内で実施している」と報告した。また同81%が、「こうした指針、計画または戦略を、役員レベルで監督している」と報告した。
  3. 回答した欧州企業すべてが、「自社の直接水使用に関する情報を把握している」と報告した。すなわち、「取水データを把握している」と報告したのが100%、また「廃水の行先、処理方法、品質を把握できる」と回答したのが81%であった。
  4. 回答した欧州企業の77%が、水の再利用で使う電力が増加した結果、「水使用量と炭素排出量との間に、相関関係が成り立っていることを理解している」と報告した。

CDPの分析のよると、優れた欧州企業は、自社の水関連データを公開できるし、それに価値を認めていることがわかった。CDPは2014年に、日本の大手企業150社を対象に、水利用情報の公開を請求している。回答期限は2014年6月30日である(以下のリンクに、日本語版の「ウォーター質問書」や対象日本企業リスト等がある)。
https://www.cdp.net/en-US/WhatWeDo/Pages/cdp-japan-background.aspx