チリの衛生監査局(SISS)は2014年5月10日、サンチャゴ市のエル・ボスケ区で下水管が破損し、汚水の公道及び付近の家屋への漏出で住民の衛生に害を与えていた下水道会社に対する、罰則措置を開始した。SISSの現場調査で、破損した下水管は、2012年にも漏出があったのと同じ部分のもので、その際に下水管が交換されていたが、チリを襲った集中豪雨により再度破損したもの。SISSは、「衛生処理一般法」第35条で義務付けられている、下水収集などの公共サービスの質と継続性の保証の遵守違反として処置するもので、同社は、10日以内に破損を修復するとともに、今後の大雨に備えた対策をとることが義務付けられる。
またSISSは2014年5月27日、水域への下水排水基準を規定する政令DS No.90/00の基準を遵守していない、チリ中央部のマウレ州の汚水処理会社に対する罰則措置も開始した。SISSは過去何年かにわたり毎月サンプル検査を実施しているが、油脂及び大腸菌の値が、基準値を超えており、悪臭などで近隣住民へ害を与えていた。SISSの見解では、同社の現在の生物処理槽設備では基準を達成するのは困難であり、同社は規制を遵守出来る施設にする為の技術的スタディを行っているが、対策が取れない場合は、コンセッション契約の停止措置がとられることになる。SISSは6月12日、同社の幹部をサンチャゴに召喚し、規制遵守計画書の速やかな提出を通達した。
その他SISSは2014年5月30日、排水基準を遵守していないチリ南部のロスラゴス州の鮭養殖会社2社及び、その排水処理をしている下水処理会社をサンチャゴに召喚し、対策計画書の速やかな提出を通達した。SISSは過去何年かにわたりこれらの企業の排水のサンプル検査を実施しており、罰則処置もとっていたが、改善していない。公共の下水道への排水基準を規定する政令DS No.609/98遵守違反として、2012年1月には養殖会社1社に9税単位の罰金、2013年2月にはもう1社に13税単位の罰金を課している。同時に下水処理会社にも、政令DS No.90/00の基準違反として罰金を課し、更に二度にわたって、汚水処理の名目での住民からの料金徴収停止を命じている。
尚水域への排水基準を規定する政令DS No.90/00及び、下水道への排水基準を規定する政令DS No.609/98は、以下のサイトでダウンロード可能(西語表記)。
政令DS No.90/00:http://www.leychile.cl/Navegar?idNorma=182637
政令DS No.609/98:http://www.leychile.cl/Navegar/?idNorma=121486