このほど発表されたオンラインの財務モデリング・プログラムによって、世界のいかなる地域の企業も、水不足の結果としてどのような水に関するリスクに直面するかを検討できるようになった。
このプログラムは、Ecolab社(本社:米国)とTrucost社(本社:英国)が共同で開発したものである。2014年11月5日の記者会見で、Ecolab社は、このプログラムの要点として、以下の点を挙げた。
- Water Risk Monetizer(WRM、水に関するリスクを金額で表わすプログラム)という名称で、企業が水不足の自社業務への影響を理解し、金銭面での条件を数値で表すのに役立つものである。このプログラムは、誰でも利用できるようになっている。
- たとえば、製造業者、食品加工業者、病院、ホテル、エネルギー供給会社あるいは小売商店街といった水のすべてのユーザーのために作成された。
- 水不足の施設への潜在的な影響をドル(通貨単位)で表わすために科学的モデルが使われている。このモデルは、特定の施設に関する水不足をベースに、特定の場所の水不足を流入する水の全体の価値に資する検討事項と関連付けている。具体的な検討項目には、現在と将来予測される水の利用、特定の場所における現在と将来予測される水不足、経済的な変化と購買力、人口とGDP(国内総生産)の予想などがある。
Ecolab社らによると、企業がクリーンな水を十分に利用できないと、業務がひどく混乱し、コストが増加し、成長が抑制される恐れがある。
Trucost社のRichard Mattison最高責任者は声明のなかで、「水不足は、気候変動、消費の増加そして非効率な利用によって悪化するので、影響を受ける地域で業務を行い、かつそこにサプライチェーンを持つ会社は、水不足とコストの増加によってリスクの増大に直面する。しかし、WRMを用いている会社は、より多くの情報にもとづいた水使用効率の改善、調達手順および立地の決定を通して、リスクを減らすことができる」と述べた。
また、上記プログラムと同日、世界的なNPOのCDPが2014 Global Water Report(世界の水報告書2014年)という報告書を発表した。この報告書の要点は、次のとおりである。
- より多くの、かつより質の高い水に対する需要の増加から生じる企業への世界的な影響が検討されている。
- CDPの分析は、FTSE Global 500 Equity Index(世界の時価総額上位500社の投資インデックス)に収載されている174社の水管理データに基づいている。この分析は、60兆ドル(約7000兆円)の資産を持つ573社の機関投資家に代わって、CDPにより行われた。
- 約68 %の会社は、その事業、業務あるいは売上に実質的な変化をもたらす可能性がある水に関するリスクにさらされていると報告している。そして、約22 %の会社は、水にかかわる問題がビジネスの成長を制限する可能性があると見ている。
なお、Water Risk Monetizerは、以下のウェブサイトから利用できる。http://www.waterriskmonetizer.com
また、CDPが発表した2014 Global Water Reportは、以下のウェブサイトで見られる。https://www.cdp.net/CDPResults/CDP-Global-Water-Report-2014.pdf