スペインで開催された第3回水資源管理・国土戦略管理計画コンファレンスにて、エストレマドゥーラ大学の教授により出された「淡水化プラントは有益ではないため水管理の代替案を検討すべき」との警告が、コンファレンスの主な結論のひとつに位置づけられた。
スペインでは10年近く前から淡水化プラントが建設されるようになったが、稼働率は20%以下であり、1m3あたりのコストは、従来の淡水供給方法よりも6倍高いとされている。教授によると、水資源不足は、単に不足しているという問題ではなく、季節的及び地理的な水資源の配分の問題であるという。例えばスペイン半島西南部のような半乾燥地域では、旱魃と平均以上の降水量の時期が周期的にある。この為、降水量が多い時期の降水を、旱魃時用に貯めて置ける規模のインフラを建設する必要がある。また、貯水池で水が余っている地域の資源を、水が足りない地域へ輸送する方が、コストも安く、環境インパクトも少ない。
淡水化技術は期待していた結果を出していない為、多雨の時期を利用する効果的な貯水池網の建設への変更を検討すべきである。また余っている淡水を海に排出し、その淡水の混ざった海水を淡水化プラントで処理するのは、常軌を逸しているのではないかというのが、教授の見解である。
なお、第3回水資源管理・国土戦略管理計画コンファレンスは、スペインの科学イノベーション省、エストレマドゥーラ州政府及び、世界環境弁護士協会の主催、エストレマドゥーラ大学、メキシコ国立自治大学法学部、ニカラグアのパウロ・フレイレ大学、アルゼンチンのベルグラノ大学の協賛で、カセレス市で10月21-23日に海外の専門家も参加して開催されたもので、以下のテーマに関する意見交換が行われた。
- 河川の生態系保護
- 国境を越えた戦略的管理
- 自然災害と水資源管理
- 水の再利用
- 水資源の国際管理
- 水資源の持続可能性