オーストリアのミネラルウォーター、21のサンプルのうち4つから残留農薬を検出

環境保護団体オーストリア・グローバル2000が、同国のミネラルウォーターの残留農薬検査を行ったところ、21のサンプルのうち4つから、農薬の分解産物であるメタザクロルとN,N,-ジメチルスルファミドが検出された。さらにサンプル1つから人口甘味料のアセスルファム-カリウム(K)が、また別のサンプル1つからも防腐剤のベンゾトリアゾールが検出された(以下のリンクに、連邦環境庁のニュース)。
http://www.umweltbundesamt.at/aktuell/presse/lastnews/news2014/_news140904/

 

(1)  メタザクロル

オーストリアは、セイヨウアブラナの栽培などでメタザクロルの使用を認めている。ミネラルウォーターの製品名“clever Urquelle”では、メタザクロルESA代謝体が1リットルあたり0.05マイクログラム検出された。一方、“Waldquelle”では、同0.12マイクログラムを検出した。これは同国の飲料水法定制限値(0.1マイクログラム)を上回っている。しかし、分析上の誤差範囲を±25%としているので、法定制限値を上回っているとはみなされない。これらミネラルウォーターはどちらも同じ、ブルゲンランド州コーバースドルフの地下200メートルの鉱泉から採水している。

 

(2)  N,N,-ジメチルスルファミド

“Alpquell Tirol”と “s-Budget Astoria”からも農薬の痕跡が検出された。具体的には、農薬代謝体であるN,N,-ジメチルスルファミドで、数年前からオーストリアが禁止しているトリルフルアニドの分解産物である。この2つのミネラルウォーターは、チロル州ブリックスレグの同じ水源から採水している。

 

(3)  アセスルファム-カリウム(K)、1Hベンゾトリアゾール

農業排出物だけでなく、下水処理場で十分に除去されなかった物質も、地下水に達していた。“Preblauer Classic”から人口甘味料のアセスルファム-カリウム(K)が検出された。また“Montes still”からは、防腐剤1Hベンゾトリアゾールが微量であるが検出された。

 

この結果を踏まえ、オーストリアグローバル2000の環境化学者Helmut Burtscher博士は、「連邦環境庁はすでに2010年に特別測定計画を実施し、地下水測定地点の4割で農薬汚染が飲料水制限値を越えていることを突き止めた。しかし、オーストリア鉱泉の石質の深さまで農薬が進入しているとは、思いもよらなかった」とコメントした。

オーストリアのミネラルウォーター令は、ミネラルウォーターの「源泉に不純物が入っていないこと」を要求している。しかし、今回の調査結果によると、農業や自治体の下水から汚染物質が入り込み、この要求事項を守りにくくなっている。しかし、連邦環境庁のGundi Lorbeer物質分析課長は、「測定された濃度が低いため、消費者は心配しなくてよい。ミネラルウォーターを摂取しても、健康への害はまったくない」と強調した。