アラブ諸国、水不足の課題に取り組むために水需要の管理の必要性を問われる

水資源不足に直面しているアラブ諸国は、供給ニーズを満たす一つの戦略として水需要の管理に取り組むべきであると、国際脱塩協会(International Desalination Association)の代表は指摘した。同代表は、2015年1月17日から24日まで開催された第3回国際水サミットにおいて、水の持続可能性は、政府間の協力や経済的インセンティブ、技術の共有、政策の革新などが必要な死活問題であると発言した。また、サウジアラビア水道電力局長官Abdullah Al-Hussayen氏は、サウジアラビアではすでに優れた水管理へ向けて動き出していると述べた。

水道料金の設定の重要性

国際水サミットに出席した多くの代表は、水道料金の設定が水需要に影響を与える可能性があると述べた。水道料金の設定は世界的な問題であるが、特に乾燥した中東諸国では水道料金が低く設定されている。例えば、アラブ首長国連邦(UAE)のAbu Dhabi環境機関は、海水を淡水化する費用の80%を助成し、飲料水を無料で供給している。それが一つの要因となり、UAEでは一人あたりの水使用量が国際平均の10倍である。Nestle Groupの副社長Claus Conzelman氏は、節水を促進するために、国民の節水に対するインセンティブを高める必要があると指摘した。

Nestleは水資源管理の重要性を認識し、過去10年間で水使用量を14%削減しているが、依然として大量の水を使用している。Nestleは、製品1トン当たりの水使用量を削減するために、砂糖入り飲料水より少ない水使用量で生産されるボトルウォーターの購入を消費者に進めている。また、Nestleは、国の規制が十分・不十分に関わらず、拠点を持つ国々において、独自の廃水処理と排出の基準を設け、先駆けて実践している。これらの活動がビジネス的に意味をなしていて、政府は類似した取り組みを現地の競合他社に義務付けていると、Conzelman氏は語った。

政府の政策の重要性

Nestleは、水使用や廃水処理を改善するためのノウハウや知識、投資資金も有しているが、公的機関の政府や規制の枠組みが企業に比べ遅れていると、Conzelman氏は指摘する。一方、シンガポール公益事業庁の産業開発担当長官Maurice Neoは、同国の水道料金体系が適正に設定されており、それによって水の使用量を抑制していると述べた。また、同国政府は、下水再生水(NEWater)や海水を淡水化した水などを新しい水資源として位置づけ、これらの水資源の供給率を上げるために、水リサイクルシステムの設備に多額の投資を行ってきた。

なお、シンガポールの水道料金設定や課税の内容、および供給プロセスの概要は以下のURLより閲覧できる。
http://www.pub.gov.sg/general/Pages/WaterTariff.aspx