中国、環境監視サービスの市場開放を推進――民間組織の市場参入を奨励

中国環境保護部は、2015年2月5日付けで“環境監視サービスの社会化推進における指導意見”を公布した。同指導意見は、“環境保護法”および国務院が公布した“政府による社会勢力からのサービス購入に関する指導意見”等の国の方針に沿い、社会勢力の環境監視分野進出の指導、民間による環境監視業務の体系化および環境監視サービスの推進発展を目的として策定されたものである。この背景には、これまで、中国の環境監視事業は、政府主管部門所属の環境監視機構を主体とした単一の管理体制で行われてきたが、近年、環境監視に関するニーズの拡大に伴い、環境監視サービスの社会化発展の必要性が高まってきたことがある。

同指導意見は、環境監視サービス市場の開放、民間環境監視機構発展のための支援および監督管理の強化に重きを置いており、その概要は以下の通りである。

(1)  環境監視サービス市場の開放

  • サービス性環境監視市場を全面開放する
    民間の力に適合するサービス系環境監視業務を民間に委ねるべきである。民間環境監視組織による汚染物排出企業の自主監視、環境損害評価測定、環境影響評価現状監視、クリーン生産審査、企業の自主調査などの環境監視業務への参入を奨励する。環境監視サービス主体の多元化、サービス方式の多様化を促進する。
  • 公益性、監督性環境監視分野を順序よく開放する
    各レベルの環境保全行政主管部門所属の環境監視機構は、担当となっている政府の監視職務を果たすべきである。同時に、環境質自動観測ステーション、汚染源自動監視施設のメンテナンス、固体廃棄物・危険廃棄物の鑑別等業務等を含め、民間組織が担当でき、かつ公平公正原則に反していない関連業務を地域の現状を踏まえ、民間組織への開放を推進する。

(2)  民間環境監視機構発展の促進

  • 政府管理方式の転換
    民間委託が適当な事業に関して、環境保全行政主管部門は、委託、下請け、調達、リスト管理などの方式により、民間部門に委託すべきある。同時に関連政策を策定し、民間環境測定組織の監督管理を強化する。
  • 業界発展における支援
    環境監視関連協会または第三者組織の役割を果たし、民間環境監視組織に関する業界内の管理を強化する。民間環境監視技術者に向けの研修、民間環境監視組織の業務能力評価等の取り組みを通じて環境監視サービス業界全体のレベルアップを促進する。

(3)  監督管理の強化

  • 監督管理体制の健全化
    省レベルの環境管理主管部門は、民間環境監視組織の業務状況に対して定期および不定期の審査を行い、組織の基礎状況及び審査結果を公開し、公示制度および退出メカニズムを構築すべきである。また民間環境サービス組織の信用記録制度を健全なものにし、環境管理主管組織による不正行為の記録ファイルへの記入、および公開を行うべきである。
  • 責任追及の強化
    民間環境監視組織は、業務における不正行為によって引き起こされた環境汚染、生態破壊の責任が問われる場合、関連法令によって処罰されることに加え、関連する連帯責任も問われるべきである。監視データの偽造、改ざん行為がある民間環境監視組織については、法に基づく処罰とともに、ブラックリストにリストアップし、質量技術監督主管部門を情報共有すべきである。犯罪行為に当たる場合には、刑事責任も問われるべきである。

上述の“環境監視サービスの社会化推進における指導意見”は、下記のURLより閲覧できる(中国語:簡体字)。
http://www.zhb.gov.cn/gkml/hbb/bwj/201502/t20150210_295694.htm