Suez Environmentは2015年2月4日、産業用水処理のための分離システムを専門とするカナダ企業、Poseidon Inc.と、水処理用の薬品と装置、および水処理サービスを専門とする英国企業、B&V Groupを、子会社のDegrémontを通じて買収したことを発表した。これらの買収は、産業用水分野の業務を拡張し、世界中の産業顧客向けのソリューションを強化する取組の一環である。
Poseidonについて
モントリオールに本社を置くPoseidonは、産業用水処理用の、浮上法による最新のコンパクト分離システムを設計・製造しているフル・サービスの装置サプライヤーである。同社の独自技術のポートフォリオには、石油・ガス、パルプ・紙、食品・飲料など多くの産業分野にまたがる廃水処理とプロセス用水処理のソリューションが含まれている。
B&V Groupについて
イングランドのノーサンプトンシャー州ダヴェントリーに本社を置くB&V Groupは、冷却回路、ボイラー・システム、廃水処理などの分野で、水関連インフラ向けのコンディショニング製品の製造・販売、および技術サービスの提供をおこなっている。同社はまた、レジオネラ属菌のリスクや微生物防除の問題に関連して、機器のほか、個別顧客向けのエンジニアリングやサービスも提供している。B&Vはまた、保健医療、食品・飲料、石油、および電力業界で施設管理の業務をおこなっている。
今回のPoseidonおよびB&V Groupの買収は、2013年のBASFからのフランスの子会社IWMの買収、2014年のProcess Groupの買収、それにEvathermの株式取得など、一連の企業買収の締めくくりともいうべきものである。
EnviXコメント
Suez Environnementによる近年の主な企業買収は下表の通りである。この2年弱の間で非常に積極的な買収戦略を仕掛けている。同社は、2014年初めに工業用水処理分野での企業買収を検討していることを発表しているが、まさにその事業戦略を着々と実行していることが分かる。Suezは、フランスでの上下水道事業の再公営化の流れにともなう、世界全体的な水道事業運営に対する民間資本参入への反対を受けて、工業分野での水処理市場を狙っており、これはVeoliaでも同様である。今後は同分野での競争がさらに激しくなるものと予想される。
時期 | 出来事 |
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2013年5月 | BASFより、工業用水管理のIndustrial Water Management France SAS(IWM)社を買収。 |
2014年2月 | GDF Suezグループより、イタリアのACEA社の840万株(総資本の3.95%相当)を取得*1。 |
2014年6月 | 石油・ガス産業向け設備のエンジニアリング、設計、製作、運転立ち上げを専門とするProcess Groupを買収。これにより、中東、東南アジア、およびオーストラリアにおける拠点を拡大し、石油・ガス産業の上流と下流の両方に向けた技術とポートフォリオを強化*2。 |
2014年7月 | スペインの水・環境サービス企業、AGBAR社の株式を取得し、ほぼ完全な子会社化とする*3。 |
2014年7月 | 蒸発技術(evaporation)および結晶化技術(crystallization)に特化したスイスのエンジニアリング企業であるEvathermの株式を取得*4。 |
2014年9月 | 飲料水の生産・配水システムにかかるエネルギーコストの削減のためのソリューションを提供する、ニュージーランドのDercetoを買収*5。 |
*1 EWBJ50号に関連記事有り「Suez Environment社、GDF Suezが放出した伊ACEA社の株式を購入」
*2 EWBJ51号に関連記事有り「Suez Environment、石油・ガス市場への戦略的展開を視野にProcess Groupを買収」
*3 EWBJ51号に関連記事有り「Suez Environnement、スペイン投資会社Criteria Caixaholding社とのパートナーシップを強化――スペインおよびチリでの地位向上を目指す」
*4 EWBJ51号に関連記事有り「Suez Environnement、蒸発技術および結晶化技術に特化したEvathermの株式を取得――産業顧客向け水処理ソリューションのさらなる充実化を図る」
*5 EWBJ52号に関連記事有り「Suez Environnement、ニュージーランドのDercetoを買収」