Veolia社のイノベーション・マーケット担当副社長が語るスマートウォーター構想

フランスの金融機関BNPパリバのイノベーション情報調査部門であるAtelier氏は2015年7月23日付で同部門の公式サイトに、Veolia社のローラン・オーギュスト(Laurent Auguste)イノベーション・マーケット担当副社長へのインタビュー記事を掲載した。以下、Veolia社がIBMと共同で推進するスマートウォーター構想に関するオーギュスト副社長の発言の要点をまとめる。

スマートウォーター構想の意義

最も重要な目的は、経済的・社会的発展に向けた新たな推進力を諸都市に提供することである。スマートウォーター構想には3つの次元がある。すなわち、

  1. モノのインターネット*1、スマートセンサー、スマートメーターを駆使して水道システム等に関する現位置情報を収集すること、
  2. それらの情報を活用してVeolia社の業務を効率化すること、

そして、

  1. すべての情報を都市のアクターに公開すること

である。

進捗状況

Veolia社は既に、南東部の主要都市リヨン(Lyon)に40万個のスマートメーターと6000個のスマートセンサーを設置し、IBMと共同開発した高速度ビデオカメラ(hypervision)システムを設営した。漏水は水道システムの管理者が最も危惧する事象の1つであるが、新たに設置されたセンサーのおかげで漏洩箇所を早期に特定・補修することが可能になった。これにより、リヨンでは年間約3万3000m3の水を節約できる見込みである。

将来展望

Veolia社はフランス全土で約200万個ものスマートメーターを設置してきたが、今後の課題は、それらのハードを給水事業の質の向上にいかに役立てていくかということである。鍵となるのは事業者と市民のインターフェイスである。そこでVeolia社は、東部の都市ブール=ガン=ブレス(Bourg-en-Bresse)と南東部のニース(Nice)において、スマートメーターを介した情報へのアクセスを住民に促す活動を試験的に実施している。住民は、みずから情報にアクセスし、水道料金を節約することにより、消費行動の主役になることができる。こうして都市ぐるみでの水資源保全の主体が誕生するわけである。

*1 モノのインターネット(IoT:Internet of Things)とは、コンピュータ等の情報・通信機器以外の物体(モノ)をインターネットに接続することにより、自動認識、自動制御、遠隔計測などの機能を持たせること。

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