仏Suez Environnement社とシンガポール政府公益事業庁(PUB)は2015年6月15日、水資源管理に関する5年間の協力覚書(更新可能)を締結した。同社とPUBは5月にスマート・ウォーター技術及び下水処理のエネルギー利用の最適化に関する次の3つの研究プロジェクトについての業務提携契約を締結しており*1、今般の覚書は同契約を強化するものである。
- 遠隔検針システムにより得られるリアルタイムの消費データを活用して水資源を保全することを消費者に促す。
- 洪水防止と自然環境保護のために、雨水のインテリジェント管理ソリューションINFLUXを配備する。
- エネルギー消費量が少なく環境にやさしい下水処理システムを開発し、下水汚泥エネルギー化率を最大化する。
シンガポールでは水資源の管理が国家的優先課題となっている。人口増加と産業発展に伴い水需要が増大している同国であるが、マレー半島の先端に位置していることから水資源が不足している。シンガポール経済開発庁(EDB)のBeh Swan Gin長官は「Suez Environnement社が、アジア地域の市場に求められる技術を発展させるための中枢にして研究・開発(R&D)の拠点としてシンガポールを選択してくれたことは慶賀に堪えない」とコメントしている。
Suez Environnement社はまた、市民自身が自宅でテレビやスマートフォンを介して水の消費量の低減やエネルギー利用の最適化のために必要なデータに容易にアクセスできることを目的とする、デジタル技術を用いた革新的な取り組みを開始した。この新たな事業については、仏Technicolor社(旧Thomson社)と共同で、シンガポールにおいて既に試験運用が開始されている。
Suez Environnementグループが水処理及びコンサルティング事業で東南アジアに進出してから60年以上になる。同グループの主な実績は以下のとおりである。
- インドネシア、マレーシア、フィリピンを中心に180以上の飲用水製造プラントや浄水プラントを設計・建設しており、そのうち8プラントは現在も操業中である。
- カンボジアで20年以上前から、プノンペン水道公社(PPWSA)と共同でプノンペンにおける飲用水供給プロジェクト“Clean Water for All”を推進している。
- ミャンマーでは2014年以降、同国第2の都市マンダレーをスマートシティ化するプロジェクト(水へのアクセスの容易化、廃棄物管理の改善、都市輸送システムの開発、エネルギー利用の最適化、環境パフォーマンスの向上)に従事している。
*1 EWBJ54号に関連記事有り「Suez Environnement、シンガポールのPUBと研究プロジェクトで相互協力」