欧州水業界団体EurEau、循環型経済に向けたEU新戦略に廃水関連施策の追加を要求

欧州27か国の飲料水・廃水処理関連の公共・民間事業者の団体EurEauの廃水委員会のメンバーが2015年6月5日、ギリシャのクレタ島で開いた会合で、欧州委員会に対し、循環型経済に関する新戦略に水関連分野を含めるよう求めた。

EurEauの専門家たちは、欧州委員会が2014年7月に出した“循環型経済への移行に向けた一連の政策・法案パッケージ”が廃棄物管理だけに重点を置き、多くのチャンスを逃していると指摘している。そして、ユンカー委員長を筆頭に2014年11月に新体制となった欧州委員会が2015年内に出す予定の、より野心的な新戦略に、廃水関連の措置を組み込めば、雇用と環境保護を共に促進できるとしている。さらに、農業で必要とされるリンなどの重要な栄養素の回収や、エネルギーとして活用できるガスの回収、水の処理・再利用の促進など、廃水部門が内包する多数のチャンスを欧州委員会は認識しなければならないとした。廃水委員会のTisserand委員長は「水部門が成長を刺激し、環境を改善するために成し得ることは、まだ沢山あるが、それらの実現には欧州委員会による市場創出のための法整備や誘導策が必要」と述べた。

EurEauは2015年3月に出した意見表明書(Position Papar)の中で主に以下の3点を新戦略に盛り込むよう求めている。

汚泥(スラッジ) 肥料としての使用促進のため、下水汚泥管理に関する措置を盛り込むべき。EUの農業部門で活用されている汚泥は現在、全体の40%未満で、これは下水汚泥指令(86/278/EEC)と廃棄物枠組み指令(2008/98/EC)のシナジーを促進する必要性を示している。リサイクル汚泥の品質改善の奨励策とするため、高品質の汚泥製品(堆肥化汚泥など)をEoW(End of Waste)基準で有用な肥料と見なすべきである。EoW基準とは、廃棄物がリサイクルなどを経て再生され、もはや廃棄物ではなく二次原料となったと見なす際の基準。
リン 下水汚泥から回収した分の使用奨励策を盛り込むべき。(既に複数のEU加盟国が、より持続可能な形でリンを使うための措置を導入している)。
エネルギー回収 廃水処理施設でのバイオガス回収の促進策を盛り込むべき(熱源やバイオ燃料として使用するため)。

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