チリの銅開発公社コデルコは2015年5月13日、特にチリ北部の砂漠地帯での銅資源開発に伴う住民用の水不足対策として、大型淡水化プラントの建設開始契約に署名すると発表した。コデルコは、北部アントファガスタ州の4つの鉱山で銅資源開発を行っているが、そのうちのRadomiro Tomic(RT)鉱山の近代化プロジェクトから、海水利用を始める。RT鉱山開発プロジェクトは、総投資額54億米ドルのもので、2013年5月に環境影響評価が提出されており、年間35万トンの銅生産が見込まれている。
RT鉱山の淡水化プラントプロジェクトは、5億米ドル投資により、当初の予定の3倍に達するモジュラー式のプラントを建設するものである。これにより、1800リットル/秒の水の供給が可能となり、北部の鉱山の水需要だけでなく、カラマ市の生活水も供給出来る可能性がある。
コデルコ総裁によれば、トコピジャ市に建設される淡水化プラントの最初のモジュールは630リットル/秒のもので、5月末に請負業者との建設開始契約書が署名される。このプラントには更に2つのモジュールが追加され、最終的に1800リットル/秒に達する。トコピジャ市から、標高3000mに位置するRT鉱山へは、44インチの配水管が190kmに渡って敷設される。鉱山で利用される淡水化された水は、飲料水に浄化することも可能である。
鉱山開発に海水をそのまま使う可能性はないのかとの問いに対しては、総裁は、その方が経済的であるが、このプロジェクトではその予定はない。ただし、海水使用では塩分が強く、モリブデンやテーリング(尾鉱)の回収が困難であるが、技術的には可能であり、そのトレードオフは検討可能であると述べている。また、銅のグレードが0.3%以下の場合は淡水化プラントによる淡水の使用は経済的に見合わないが、コデルコの銅は0.6%以上であり、淡水化は可能であると述べている。
コデルコの今後の銅生産見込みは、2015年は170万トン、2016年は167万トン、2017年は166万トン、2018年は155万トン、生産コストは、2015年は0.219米ドル、2016年は0.249米ドル、2017年は0.259米ドルとなっている。