ドイツ連邦環境庁は2015年9月29日、報告書『ドイツの海洋保全にとって重大なマイクロプラスチック排出源』*1を発表した本報告書は、化粧品その他の製品におけるプラスチック微小粒子(マイクロプラスチック)の使用量を調査したドイツ初めての成果である。それによると、マイクロプラスチックは数量面では比較的わずかではあるが、不必要な環境汚染に寄与している。世界で最も多く使われているプラスチックはポリエチレンであるが、その一次微小粒子約500トンが毎年ドイツで化粧品として使われている、と見積もられる。
しかし、海洋における数量面で最も重大なマイクロプラスチック排出源は、より大きなプラスチックパーツの分解である。プラスチックの袋から漁網にいたるプラスチック廃棄物が河川を経て海に達すれば、風、天候、潮の満ち引きなどによって粉々になり、いわゆる二次微小粒子に分解される。報告書によると、世界のプラスチック製品の約6~10%が最終的に海洋に到達している。世界全体で3億トンのプラスチックが生産されている(2013年)ので、年間最大3000万トンが海洋に漂着していることになる。欧州だけで、年間340~570万トンを占める計算となる。
したがって報告書は、一次マイクロプラスチックに取り組みを集中するだけでなく、環境中へのプラスチックの流入量を全体的かつ劇的に削減するよう提言している。そうすれば、海洋や内陸水域で二次マイクロプラスチックが発生するのを効果的に防ぐことができる。これはドイツやEUだけでなく、世界全体で取り組むべき課題であるという。一方、ドイツのイニシアチブで、G7、OSPAR(北東大西洋の海洋保護)、HELKOM(バルト海の海洋保護)の枠組みを通じて、海洋廃棄物の撲滅に向けたグローバル、ローカルな行動計画が採択されたところである。EU海洋戦略枠組み指令(2008/56/EC)を実施する枠組みでも、同様に北海とバルト海に関する包括的なプログラムが策定されている。
報告書では、ポリエチレン以外の一次マイクロプラスチックの利用分野も分析した。それによると、ドイツで洗浄剤や消毒殺菌剤で使われるマイクロプラスチックの量は、年間それぞれ100トン以下と見積もられる。これに対し、プラスチックワックスは年間約10万トンである。問題なのはプラスチック粒子のワックス散布であり、分離剤や表面塗装剤として使われている。プラスチックの二次微小粒子のさらなる発生源は、衣料品やその他の繊維を洗濯する際に排出される化学繊維である(年間80~400トン)。また、道路交通によるタイヤ摩損分(年間6万~11万1000トン)という排出源も無視できない。
*1 http://www.umweltbundesamt.de/publikationen/quellen-fuer-mikroplastik-relevanz-fuer-den