Veoliaは2015年12月14日、パリで株主総会を開催し、2016年から2018年にかけての新たな戦略計画の詳細を発表した。この計画は、おもにつぎのふたつの前提の上に成り立っている。ひとつは、官民の顧客間のバランスを改善することによる売上増で、これにはヨーロッパ圏外でのより力強い成長なども含まれる。もうひとつは、事業効率の改善である。以下は、発表された戦略計画の概要である。
- 継続的な売上増により、現在から2018年までのあいだに、年平均2%ないし3%の売上の伸びを達成する。
Veoliaグループは、フリー・キャッシュフロー創出のペース向上に支えられた継続的な売上増を見込んでいる。生み出されたフリー・キャッシュフローは、おもに開発に充てられる。
公共事業市場では、先進国においても新興国においても、地方政府のニーズを満たす取組を今後もつづけていく。この市場においては年平均で約2%の売上増を見込んでいる(下図)。2015年売上の推定は142億ユーロで、2018年には150億ユーロと推定。
図 公共市場での売上推定(単位:十億ユーロ)
(出典:Veolia Investor Day資料よりエンヴィックス作成)
産業顧客市場では、6つの優先分野(石油・ガス・化学、鉱業・金属・発電、食品・飲料・医薬品、有害廃棄物、解体、および循環経済)に成長への取組を集中し、年平均でおよそ5%の売上増を見込んでいる(下図)。
図 産業市場での売上推定(単位:十億ユーロ)
(出典:Veolia Investor Day資料よりエンヴィックス作成)
- 2016年から2018年までのあいだに総額で6億ユーロ(約790億円)を超えるコスト削減:
コスト削減への現在の取組を継続することで、2016年には2億ユーロ(約260億円)、2018年までには総額で6億ユーロを超えるコスト削減をめざす。コスト削減は、その45%を事業効率改善により、35%を購買の最適化により、残る20%をSGAコスト(販売費および一般管理費)の削減により実現する。 - 2015年のEBITDA(利子、税、減価償却、債務償還前の利益)は推計でおよそ30億ユーロ(約4000億円)となるが、2018年にはこれがおよそ35億ユーロ(約4600億円)となる見込みである。
- EBITDAの伸び、資金調達コストのさらなる削減、それに30%を下回る水準での税率の安定化が、現在の純利益の達成を可能にしており、グループ全体の純利益は、2015年に推定5億5000万ユーロ(約730億円)だったものが、2018年には8億ユーロ(約1100億円)になることが見込まれる。
- EBITDAの伸びと、年間16億ユーロ(約2100億円)ないし17億ユーロ(約2200億円)という比較的高額の資本支出の結果、2018年には純フリー・キャッシュフローがほぼ倍増して約10億ユーロ(約1300億円)になる。
- 2015年から2018年までの配当方針:
フリー・キャッシュフローの創出と、1株当たり純利益の2桁の伸びが当期に予想されることから、取締役会は増配を提案する見通しである。- 1株当たり配当は2014会計年度には0.70ユーロ(約92円)だったが、これを2015会計年度内の2016年から増額して0.73ユーロ(約96円)とする。
- 2016会計年度からは年率10%の増配とする。