中国浙江省で、2016年5月、「浙江省水汚染防止行動計画」(以下、「浙江省水十条」)が発表された。浙江省における水汚染防止業務に関する全般的な要求、重点任務、目標や指標が明確に打ち出されている「浙江省水十条」では、4段階の具体的な数値目標が明らかにされている(下表)。これらの目標の実現のために、「浙江省水十条」では、水汚染物質排出の全面的な規制、経済発展のグリーン化、水資源の保護や節約の強化、水生態環境の安全性確保など9分野の重点任務が定められている。
スケジュール | 目標 |
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2017年まで |
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2020年まで |
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2030年まで |
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今世紀半ばまで |
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I類:主に水源水。国家自然保護区。II類:主に生活飲用水。一級保護区、希少魚類保護区、魚・海老産卵場。
III類:主に生活飲用水。二級保護区、一般魚類保護区、遊泳区。
IV類:主に一般工業用水。一般工業用水区、直接人体に触れない娯楽用水区。
V類:主に農業用水。農業用水区、一般景観の確保。
都市部の汚水処理場で最も厳格な基準を執行
浙江省環境保護部の関連担当者によると、「浙江省水十条」では、工業集積エリアの汚水集中処理施設、オンラインモニタリング施設、重点水汚染業種の廃水高度処理に対して、詳細な要求を打ち出している。
計画によると、2016年末までに、全省の工業集積エリアでは、規定に従い汚水集中処理施設を建設するとともに、自動オンラインモニタリング装置を設置しなければならない。期限を過ぎても未完了の場合、水汚染物質の排出量が増加する建設プロジェクトについては、すべての承認や許可が一時的に停止される。
スケジュール | 目標 |
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2016年6月末まで |
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2017年まで |
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2020年まで |
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このほか、注目を集めている飲用水の水質問題について「浙江省水十条」では、地方の各級人民政府や水供給事業者が、当行政地域内の飲用水源や、給水場からの供給水、使用者の給水栓における水質の安全性に対して、定期的なモニタリング、検査・測定、評価を実施し、2016年以降、四半期ごとに各地級市が社会に公開することについて明らかにしている。また2020年までに、すべての県級以上の飲用水源地には、水質の生物毒性警報用モニタリングシステムが設置される。
厳格な責任追及が明確に
農村の生活汚水の処理については、2017年までに以下の目標の実現を目指す。
- 全省の2万1278の行政村 における生活汚水処理を完了し、受益農家を448万戸追加。
- 生活汚水処理が実施されている農村の割合を90%以上にまで引き上げ、受益農家を70%以上にまで到達させる。
また家畜・家禽飼育による汚染問題については、飼育地域や汚染物質排出総量の二つを制御する制度を厳格に実施する。飼育禁止区、飼育制限区に関する制度を厳格に実行し、2016年末までに、法に基づき、飼育禁止区内の家畜・家禽飼育場(団地)や畜産家に閉鎖や移転を命じる。飼育頭数が1000頭以上の大規模な飼育場に対して、標準化や改良を実施し、病死した動物の無害化処理を強化するとともに、豚死亡保険との連動制度や集中処理制度を確立する。
汚染規制の他にも、浙江省では、流域や地域での総取水量の制限も実施する見通し。総取水量が規制指標に到達または超過した地域については、建設プロジェクトの追加取水の許可が一時的に停止される。また、重点モニタリングを実施する水使用事業者のリストを作成する。全省の総水使用量については、2020年までに244.4億m3以内に規制される。
浙江省政府は、今後、各地級市政府と水汚染防止目標責任書を締結する見通し。毎年の審査結果は、指導グループや指導幹部の総合的な審査や評価における重要な根拠となる。さらに、行政指導、企業名を公表した上での監督、通報などの方法により、是正や実施を促していく。職務怠慢・不履行により、水環境汚染事故を発生させた場合、法や規律に基づき関連事業者や関係者の責任を追及していく。