2016年11月28日に現地で報じられたところによると、サウジアラビアでは水需要の高まりから、水分野に民間セクターから530億ドル(約6兆円)の投資が必要となる可能性があるという。
戦略的パートナーシップを探索、海水淡水化公社の民営化計画を進める
11月26日、2日間の日程で開催されていた水投資フォーラムにおいて、サウジアラビア環境・水・農業省のAbdul Rahman Al-Fadli大臣は次のように述べた。「我々は現在、水の製造、輸送、分配に関する投資の枠組みの構築と戦略的パートナーシップの確立を進めています」
さらに、今後、淡水化ステーションの建設に関連して、民間セクターに多くの投資機会が与えられるとの見通しを明らかにした。同省のMansour Al-Mushaiti副大臣は、今後の海水淡水化事業の展開について「貴重な水に対する重要の高まりに応えるため、環境・水・農業省では、海水淡水化公社(SWCC:Saline Water Conservation Corporation)[1]を民営化し、今後15年間で淡水生産量を倍増させる計画を進めています。そのためには今後5年間で、最高533億ドル(約6兆円)の投資が必要になると予測しています」と説明する。さらに、2016年11月にSWCCのトップに就任したAli Al-Hazmi氏は次のようにコメントした。「将来建設されるプラントは、民間セクターを対象に入札を実施します。我々は民営化に必要な全ての準備を整えています」Ali Al-Hazmi氏によれば、同国の水需要は年間5%を超えるペースで増加しているという。
Fadli大臣は、サウジアラビア各地には現在約520のダムが存在し、雨水や洪水の水を貯蔵していると説明する。大臣は、今後はこれらのダムの利用に加え、工業・農業分野でリサイクル水を使用していくとも述べた。同大臣によれば、現時点においてサウジアラビアでは充分な量の水が利用できていると強調した(ただし、市民や工業セクターが合理的に水を利用する限りにおいて)。サウジアラビアは、「戦略的パートナーシップ」を通じて2020年までに淡水化生産量の52%を生産することを目指している。
[1] 1974年に創業。サウジアラビア政府が運営する世界最大の淡水化企業である。28のプラントを運営し、併設の発電所で発電も行っている(送電網を通じて国内に供給)。2014年における淡水化能力は約360万立方メートル/日。