中国の国家発展改革委員会および住宅・都市農村建設部は、2016年12月31日、「『第13次五カ年計画』全国都市汚水処理および再生利用施設建設計画[1]」を共同で発表した。同計画にもとづき、「第13次五カ年計画」期間中(2016年~2020年)、全国都市部での汚水処理および再生利用施設建設業務の総合的な推進を図る。
同計画によると、施設建設の概算投資総額は約5644億元(約9兆2400万円)に達する見込み。上記金額のうち、各種施設建設への投資額は5600億元で、監督管理能力構築への投資額は44億元となる。施設建設投資額の内訳は以下のとおり。
項目 | 投資額(億元) |
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汚水管網の新設 | 2134 |
老朽化した汚水管網の改造 | 494 |
雨水・汚水合流式下水道管網の改造 | 501 |
汚水処理施設の新設 | 1506 |
汚水処理施設の基準適合改造 | 432 |
汚泥無害化処理・処分施設の新設または改造 | 294 |
再生水製造施設の新設 | 158 |
初期雨水汚染対策施設 | 81 |
「第13次五カ年計画」期間中、地級市およびそれ以上の都市における悪臭汚水(中国語:黒臭水体)対策・発生源規制・汚染遮断関連施設の建設への投資額は約1700億元で、同金額は項目別に計画の重点建設事業投資額に計上されている。
2020年までの目標
同計画では、「第13次五カ年計画」期間中における全国の都市汚水処理および再生利用施設の建設に関して、以下の4つの目標が打ち出されている。いずれの目標の達成期限も2020年末まで。
項目 | 詳細 |
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汚水処理率 | 都市汚水処理施設による全地域網羅を実現する。都市部の汚水処理率を95%にまで引き上げ、そのうち地級市およびそれ以上の都市では、すべての汚水を収集および処理する。県城(県人民政府の所在地)での汚水収集・処理率は85%以上とし、同県城の東部地域では90%達成を目指す。建制鎮(省・市人民政府の承認を経て設置された鎮)での汚水収集・処理率は70%とし、同建制鎮の中部・西部地域では50%を目標とする。京津冀地域(北京市・天津市・河北省)、長江デルタ、珠江デルタなどの地域では、1年前倒しでの目標達成を目指す。 |
悪臭汚水対策 | 地級市およびそれ以上の都市の市街地における悪臭汚水を10%以内にまで抑える。直轄市、省都、計画単列市(日本の政令指定都市に相当する都市)については、2017年末までに悪臭汚水をほぼ除去する。 |
汚泥無害化処理率 | 地級市およびそれ以上の都市では90%、他の都市では75%、県城では60%達成を目指す。重点鎮については、処理率を5ポイント引き上げ、建制鎮での総合的かつ集中的な処理・処分の基本的な実現を目指す。 |
再生水利用率 | 都市および県城での再生水利用率のさらなる引き上げを行う。京津冀地域は30%以上、水不足都市では20%以上、他の都市や県城については15%達成を目標とする。 |
目標達成のための建設目標
「第13次五カ年計画」期間中に計画されている建設事業は、以下のとおりである。
- 汚水管網の新設:12万5900km
- 老朽化した汚水管網の改造:2万7700km
- 雨水・汚水合流式下水道管網の改造:2万8800km
- 汚水処理施設の新設:新設施設の1日当たりの処理量 15022万m3
- 汚水処理施設の基準適合改造:改造施設の1日当たりの処理量 4220万m3
- 汚泥無害化処理施設の新設:新設施設の1日当たりの処理量 6万100トン(水分含有量80%の湿汚泥で計算)
- 再生水製造施設の新設:新設施設の1日当たりの製造量 1505万m3
- 初期雨水汚染対策施設の新設:新設施設の1日当たりの処理量 831万m3
また、同計画では、監督管理能力の構築を強化し、全国で統一され、かつ、全地域が網羅された都市部の排水・汚水処理における基本的な監督管理体系を確立することについても言及されている。
[1] 本計画は以下よりダウンロード可能。
http://www.ndrc.gov.cn/fzgggz/hjbh/huanjing/201701/W020170123353735899175.pdf