米でFord工場による地下水汚染をめぐり住民訴訟

米のFord Motor Co.の工場からの洗浄用化学物質を含む廃水で現在でも地下水が汚染されているとされる件で、ミシガン州リボニアの130人余りの住民が2017年8月9日、同社を相手取って提訴した。訴状によると、Fordはトランスミッションを生産しているリボニア工場から塩化ビニルおよびトリクロロエチレンを含む廃水を排出し、それがいまも地下水を汚染しており、90世帯以上を危険にさらしているという。住民らは、資産価値の下落と、個人所有の井戸が使用できなくなったことに対する損害賠償を求めている。Fordのウェブサイトによれば、同社のリボニア工場はデトロイトの郊外に位置し、およそ1740人を雇用している。

州環境局とはすでに和解

Fordはすでにミシガン州環境局(MDEQ)にも訴えられており、この裁判では、今回の住民訴訟に先立つ2017年7月に同意判決による和解が成立している。MDEQの訴状によると、Fordは1950年代から1980年代にかけて有害物質を排出しており、2014年になってそのことに気がついたという。同意判決は、Fordは同社の責任において汚染の浄化とモニタリングをおこなうべしとしている。

住民訴訟の代理人であるShawn Collins弁護士によると、MDEQに訴訟をうながしたのは今回の住民訴訟の原告住民らだという。2017年4月、住民らはFordに対し、汚染について州がこれまで何もしてこなかったことを踏まえて、90日以内に資源保全回収法(RCRA)にもとづく訴えを起こすと通告した。2017年7月の同意判決はその88日後のことだった。

Fordは「健康リスクなし」

この問題についてFordの広報担当John Canganyは、サンプル採取の結果、住民や飲料水への健康リスクはないことがわかったとして、つぎのように述べている。「われわれはこのこと(有害物質の排出)に気がついたとき、ただちにMDEQと工場近隣の住民に警告を発し、それ以来、進んでMDEQと協力して地下水汚染の可能性について調査し、それが7月のミシガン州との和解につながった」

いっぽう、原告側のCollins弁護士は、原因がFordの汚染物質排出に関係があると確認された疾病はまだないが、工場近隣の住民に自己免疫疾患が異常に多いことについて調査しているところだと述べている。