ブラジル、石油公社の虚偽の水質報告に対して5億円に上る違反として訴えた

2018年2月5日、「ブラジル環境・再生可能天然資源院(Ibama)が、ブラジル石油公社(Petrobras)の虚偽の排水に関する報告に対し、約1550万レアル(約5億円)相当の違反にあたるとして訴えた」旨が公表された。Ibama の訴えによると、Petrobrasは石油採掘によって海洋に排出した汚染水に含まれる油分のデータについて、実際の19分の1の値を報告していた。PetrobrasはIbamaの訴えを認めず、合意に至っていない。

  • 実際の計測結果は最大許容値を大きく上回り、Petrobrasが報告したデータの19倍に達していた。これは、2017年初めに労働公共省が実施した労働条件の検査から判明した。
  • 2008年以降、Petrobrasは不適切な検査方法によって、虚偽データを提出している。シリカゲルを使用し油分を除去して、実際より低い検査結果が検出される。これは、海洋に排出された汚染水における汚染物質の濃度を規定した国家環境審議会(Conama)規則に適合していない。
  • Conama規則では、排水中の油分・ガスの月平均の最大許容含有量は1 Lあたり29 mg未満であるが、Petrobrasで検出された結果は1 Lあたり178 mgあり、報告データの約5倍を上回っていた。
  • 最も誤差が大きかったケースは、2016年12月の検査結果で、Petrobrasの報告データでは1 Lあたり8 mgであったが、19倍を超える154ミリグラムの油分が検出された。
  • Ibamaが米国の環境保護庁(EPA)に本件を照会したところ、Petrobrasの検査方法は不適切である旨の回答が得られた。
  • Petrobrasの当該施設があるエリアでは、現在も油で汚染された動物の報告があり、絶滅危惧種にも影響を及ぼしていると考えられる。

Ibamaは、Petrobrasの虚偽報告に対して、合計5件の違反、金額にして約1550万レアル(約5億円)相当に上ると訴えたが、Petrobrasは内、4件を認めず、汚染水における汚染物質の検査方法についても、シリカゲルを使用していないと主張している。