米EPAの水質改善政策の最新動向――水質取引と「合衆国の水域」の新定義

米環境保護庁(EPA)は2019年2月6日、Andrew Wheeler長官代理がジョージア州を訪問してトランプ政権の水質改善策などについて地元の地方政府高官らと話し合ったのに合わせて、関連する政策に関するEPAの方針を公表した。以下は、そこで示された水質取引と、「合衆国の水域」の新定義についてのEPAの方針の概要である。

水質取引

EPAは以前から、富栄養化物質等の削減のために、水質汚染低減クレジットを市場原理にしたがって取引する「水質取引」の導入に前向きであったが、今回も改めてその必要性を強調し、そのための以下の6つの原則を示している。

  • 州政府、先住民部族政府、およびステークホルダーらは、流域単位の水質取引その他の市場原理にもとづくプログラムの実施を検討しなければならない。
  • EPAは、市場原理にもとづくプログラムを実施するための適応戦略を奨励する。
  • 水質クレジットおよびオフセットは将来の使用に備えて貯蓄することができるものとする。
  • EPAは、ベースライン・コンセプトの実施に簡潔さと柔軟性をもたせることを奨励する。
  • ひとつのプロジェクトで生じるクレジットを複数の市場で取引できるものとする。
  • 非点源汚染の原因となる土地利用への対策には、そのための資金援助が活用できる。

「合衆国の水域」の新定義

水質浄化法(CWA)の規制対象である「合衆国の水域」については、これを新たに定義しなおす規則案をEPAと陸軍工兵司令部がすでに2018年12月に公表している。この規則案は、定義があいまいで結果的にCWAの規制対象範囲を不当に広げるものだとの批判がある現行の「合衆国の水域」を、汚染防止と経済成長をともに重視する観点から見直そうというもので、EPAは今回、改めてそのことの重要性を訴えている。

なお、この件に関するEPAの報道発表は以下のふたつのURLで読むことができる。
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-acting-administrator-wheeler-promotes-president-trumps-state-union-address-ga
https://www.epa.gov/newsreleases/epa-announces-new-water-quality-trading-policy-memorandum