2018年12月31日、中国生態環境部および発展改革委員会は、長江生態環境の保全・修復を目指す「長江保護修復攻略戦行動計画」(以下、「計画」)を発表した。2020年末までに、長江流域では国管理区域に関して、優良水質(III類とその以上)を85%以上に達せしめ、利用不能(v類以下)を2%以下に抑える;長江経済地域地レベル及び流域市の既成市街地において黒臭水除去率を90%以上に達せしめ、集中式飲用水水源水質をⅢ類もしくはそれ以上に達せしめる割合が97%以上とするなど、具体的な目標を打ち出した。
長江経済帯とは上海市、江蘇省、浙江省など11の省・市が含まれる重点地域を指す。今回の計画によって、政府は長江生態環境の改善を核心とし、長江本流と主な支流および重点湖・貯水池を突破口として、汚染防止と生態保護を統合的に実施し、水汚染改善・水生態修復・水資源保護を同時に行い、工業・農業・日常生活・海運による汚染を防止し、調和・健康・クリーン・安全・優美な長江イメージを立てるなどの方針を打ち出した。
「計画」は、下記のような主に8つの任務を明確化した。
(1) 生態環境スペースコントロールの強化、生態保護レッドラインの厳守
(2) 汚染物質排出口への調査・管理、水陸統一管理監督の推進
(3) 工業汚染対策の強化、生態環境リスクの防止
(4) 農村居住環境の持続的な改善、農業非点源汚染の抑制
(5) 環境インフラ整備、飲用水水源の安全確保
(6) 海運汚染防止、港口の環境汚染リスクの防止
(7) 水資源の効率的な配分、生態用水需要の確保
(8) 生態系管理の強化、生態破壊行為への厳格な取り締まり
そのうち工業汚染対策について、重汚染企業の移転改造または閉鎖を加速させ、重汚染企業の長江上流・中流地域への移転を禁止する;工業パーク環境管理の厳格化、工業企業廃棄物の標準に基づく排出の強化、リン鉱・リン化学企業・リン石膏貯蔵庫への調査管理、固体廃棄物の規制に基づく管理の強化、排出源のコントロールから環境汚染リスクの防止などが強調された。
また、任務の全面的実施を保障するため、責任追及制度を導入し、政策・法律の完備化と地方標準の制定を推進する;融資ルートを拡大し、流域生態弁償メカニズムを改善し、科学研究と技術開発の成果の転換を加速し、省エネ環境保全産業の発展を促進し、生態環境管理監督を厳格化し、公衆の参加を呼びかけるなど、長江生態環境の保全・修復事業の展開を推進するための措置が打ち出された。
「関連情報」
『「長江保護修復攻略戦行動計画」に関する通達』の原文は下記のURLよりダンロード可能である(中国語:簡体字)。
http://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk03/201901/t20190125_690887.html