インドネシア首都ジャカルタが運営する下水道運営会社PD PAL Jayaは2019年4月中旬、一部の民間下水汲み上げ業者が、規定された下水処理場にて汚水を処理せずにそのまま河川へ放出していることを明らかにした。
PD PAL Jayaの研究開発部門副部長Johan Sufandi氏の試算によると、ジャカルタにて運営する民間下水汲み上げ業者数は合計約300社に上るものの、このうち下水処理場にて汚水処理を実施した企業は100社程度に留まるという。同都市では、West Jakarta地区にDuri Kosambi下水処理場、またはEast Jakarta地区にPulo Gebang下水処理場が位置し、汚水汲み上げ後、これらの下水処理場へトラックにて運搬、同施設にて汚水を処理する必要がある。Johan Sufandi氏は、一部の業者が汚水処理を実施しない理由として、下水処理場までの距離と高額なコストを挙げている。
今回の事実を踏まえて、PD PAL Jayaの理事長を務めるSubekti氏は、民間汚水汲み上げ業者が公共スペース(地域河川等)へ汚水を投棄している現場を発見した場合、写真を撮影し、同機関へ通告するよう呼びかけている。また、一部の業者による河川への汚水投棄を巡り、ジャカルタ首都特別州知事Anies Baswedan氏は、問題解決及び汚水投棄に伴い発生する河川の汚染防止を目的とした短期的及び長期的計画の策定準備に取り組んだことを明らかにした。その一環としてまず第一に、機能性のあるトイレを持たない一般住民約50万世帯の氏名を登録する方針を同知事は掲げている。
ジャカルタ市政府は、Central及びNorth Jakarta地区に、ゾーン1統合汚水処理ネットワークシステムの建設と新型汚水処理タンク(biopal toilet)の整備に8.7兆ルピア(約700億円)を支出する予定である。市政府はまた、同地域にてトイレを建設する必要がある一般住民に対して補助金を提供する。