フィリピン環境天然資源省(DENR)は、2019年4月21日、マニラ湾周辺の全ての施設に対し、既存の下水道に接続するか、または独自の下水処理施設を設置するよう義務づける覚書回覧を発行したと発表した。この覚書回覧第2019-01号(Memorandum Circular 2019-01)は、マニラ湾省庁横断タスクフォースの議長を務め、汚染された水源の浄化に責任を負うRoy A大臣によって発行された。DENRはこれにより、マニラ湾へ排出される排水の水質がDENRの定める基準に適合するよう徹底することを目指す。
本覚書回覧の適用対象は、全ての政府機関や下位機関の施設、集合住宅、商業施設、ホテル、娯楽施設、病院、市場、公共の建物、工業団地などが含まれる。「本回覧の対象は、190kmのマニラ湾岸線全体の他、中部ルソン地方(地方III)からカラバルソン地方(地方IV-A)、マニラ首都圏にまたがる排水域、合計1万7540 km2にわたります」とCimatu大臣は説明した。本覚書回覧について大臣は、共和国法第9275号「フィリピン水質浄化法(RA9275)」 およびドゥテルテ大統領が発行した行政命令第16号「マニラ湾の沿岸海洋生態系の浄化および修復、ならびにマニラ湾タスクフォースの設置(Expediting the Rehabilitation and Restoration of the Coastal and Marine Ecosystem of the Manila Bay and creating the Manila Bay Task Force)」の条文に基づき発行されたものだと説明した。
2019年1月27日、DENRは3段階で構成された浄化計画「マニラ湾のための闘争(Battle for Manila Bay)」を発表した。この計画は、マニラのRoxas Boulevard その他のエリアにおける1万人を超える人々が参加する大規模な浄化活動である。発表から2カ月あまりで、DENRおよびその傘下のラグナ湖開発庁(LLDA:Laguna Lake Development Authority)はRA 9275その他の環境法への違反を理由として、違反通知や操業停止通知を数百件発行した。この計画の開始前、マニラ湾の糞便性大腸菌群レベルは3億3000万mpn/100ml(mpn:統計的に最も確からしい数値)であった。これは、水泳が可能な基準値100 mpn / 100 mlの3万3000倍である。DENRは、マニラ湾を水泳やダイビング、その他の娯楽に適した水質(クラスSB)にまで回復させることを目標としている。
※なお、冒頭の「覚書回覧第2019-01号」の原文については、2019年5月20日時点ではDENRのwebサイト上で確認できない。