ドイツ環境省、容器詰め飲料水から水道水利用への転換を促す取り組みを全国に拡大

ドイツ連邦環境省が2019年5月2日、同省がベルリンで実施した水道水利用促進パイロット事業を、今後3年間に全国12箇所に拡大する、と発表した。「水の転換:水道水は気候保護」と題した本事業は、ペットボトル等の飲料容器詰めの飲料水から水道水への利用転換を図ることを目的としている。ベルリンの社団法人“a tip: tap”が公共水道事業者とともに水飲み場を設置しながら、水道水に関する情報を提供する。これにより、飲料水の容器包装を回避して、気候に有害な温室効果ガスの排出抑制につなげる。ドイツ連邦環境省は、全国気候保護イニシアチブの財源から130万ユーロ(約1億6000万円)の予算を補助する。実施期間は2019年5月1日から2022年4月30日まで。

本事業では次の活動を実施することとしている。

  • 水道水に関する情報を国民一般に提供する。その際、水道水の安全性を保証するため、水質分析データを添付する。水道水利用の感情面での変化を促すため、情報提供ブース、講演、イベント、ターゲットを絞った広報活動等の地域的な取り組みを通じて、水道水が人間の日常生活で大きな存在感をもっていることを理解してもらう。
  • 水道水を目に見えるようにするため、公共空間に水飲み場を設置する。
  • 水道水に関する教育プログラムを、幼稚園・保育園、希望クラス、課外研修等向けに提供する。
  • 企業や公共機関で、水道水の健康面や長所に関する対話を深め、水道水利用への転換を助言する。
  • 清浄な飲料水を入手する人間の権利を強化するとともに、低所得者層向けに水道水の料金を引き下げ、家計の負担を軽くする。

S・シュルツェ連邦環境大臣は、「水道水を飲む者は、お金やエネルギーだけでなく、不必要な容器包装も節約することになる。ベルリンで成功したパイロット事業を、向こう3年間にドイツ全域に拡大することをうれしく思う。水道水は、容器詰めの飲料水に取って代わる、健康的で気候に優しい水として推奨される」とコメントした。本事業は、ドイツ環境省が2018年11月に発表した「余計な製品とプラスチックの発生を避けるための5項目プラン」を土台にしている。