チリのアントファガスタ州の銅鉱山会社AMSA(Antofagasta Minerals)が、昨年承認された、13億米ドル投資のロス・ペランブレス銅鉱山の設備増強プロジェクトの一環として5億米ドルの淡水化プラントを建設すると、2019年5月にロンドンで開催された同社の株主総会で発表されたことが報道された。
設備増強プロジェクトは同社の過去14年間の投資中最大規模のもので、同社のCEOによると、淡水化プラントは気候変動などによる干ばつに備えるために建設される。設備増強プロジェクト投資総額の、約3分の1の金額が投資されることになる。同社のCEOは、省エネに必要な要素である銅資源は再生可能エネルギーや電気自動車にも必要なものであり、今後銅の需要は増える見込みであり、2019年は明るい見通しであると述べている。
ロス・ペランブレス銅鉱山は、AMSAが60%、JX金属と三菱商事などの日本企業が40%所有する。この鉱山の設備増強プロジェクトは、銅の生産量を年間34万トンから2021年下半期には約40万トンに増やすプロジェクトで、JBICが4億2500万米ドルを10年返済で、その他みずほ銀行、カナダ輸出開発銀行、スコシア銀行、住友三井銀行、中国銀行などが8億7500万米ドルを7年返済で融資する。
2016年6月に提出されていたロス・ペランブレス銅鉱山の設備増強プロジェクトの環境影響評価は、2018年2月に地元コキンボ市で承認されており、地元住民の優先雇用や地元企業の優先起用など、サステナブルな地元社会との共存が約束されている。
淡水化プラントの生産能力は400リットル/秒だが、新しい鉱山ライン向けに使用するのは150リットル/秒で、残りは気候変動の影響やその他の何らかの要因で水不足が続く事態に備えたものとなる。
なおAMSAの設備増強プロジェクトは、チリで初めて、また鉱山開発会社としては世界で初めて、S&Pグローバル・レーティングのグリーン評価による格付けを獲得している。