フィリピン、バリリ川の浄化活動を検討中――大腸菌濃度が基準値を大幅に超過

2019年6月30日、フィリピン環境天然資源省(DENR)はバギオ市バリリ川の水質がマニラ湾よりも劣悪だとして、浄化活動を検討していると発表した。これに先立ち、DENRは同市内で野外に積み上げられた膨大なごみが大きな問題となっていたイリサンごみ集積場の一時的な閉鎖を命じている。

今回バリリ川が問題となったきっかけは、固形廃棄物管理および地方自治体を担当するDENR のD. Antiporda次官が、職員チームとともにバギオ市にある築33年の下水処理施設を視察したことである。次官およびチームスタッフは、下水処理施設からの処理廃液が流入するバリリ川の深刻な汚染度合いを目の当たりにし、強い危機感を覚えたという。バギオ市が存在するコルディリェラ行政地域のDENR環境管理局(EMB-CAR)のデータによれば、バリリ川の糞便性大腸菌の濃度は1兆6000億mpn/100mlである。「これは、同濃度が3500万mpn/100mlのマニラ湾よりはるかに劣悪な水質です」とAntipordaは指摘した。DENR行政命令第2016-08号の下、バリリ川のようなA級河川で許容される糞便性大腸菌レベルはわずか4 mpn/100mlである。

一方で、DENRは、EMB-CARを通じて、下水処理施設での処理状況を常に監視し、水質基準を満たし続けていることを確認している。1986年に操業を開始したこの処理施設は、1日あたり8500m3の処理容量を有し、現在1日に6500m3を処理しているが、下水の量がピークを迎える雨季には1日当たり1万2000m3に上る。2018年10月、DENRはDAO 2016-08号に基づき、この下水処理施設のコンプライアンス行動計画(CAP)を承認した。CAPは2019年4月に改訂・承認され、2022年12月まで有効となっている。

DENRは下水処理施設の視察に先立ち、Antiporda次官のチームによる抜き打ち検査の結果を受け、野外投棄を行っていたイリサンごみ集積所の一時的な閉鎖を命じた。同国では、2000年生態的固形廃棄物管理法(RA 9003)により野外投棄が固く禁じられている。また次官チームは第7地区にある多くの養豚場の査察も実施し、その結果動物性廃棄物が直接水路に排出されていることを発見した。査察に同行していたBenjamin Magalongバギオ市長は、次官のチームに対し、豚を飼育するための共通施設をより適切な場所(Tuba自治体付近など)に建設するなど、早急な措置を講じると約束した。一方Antiporda次官は、待ち望まれているバギオ市の浄化が開始された際には、DENRは水路から3メートルの緩衝地域を設ける規定を厳しく徹底すると述べた。この緩衝地帯があることで、川沿いの一般家庭から川への廃棄物の投棄を抑止できるという。DENR-CARの地域事務局長Ralph C. Pabloは、バリリ川の浄化に関する住民の協力を求めた。また河川浄化の優れた事例として、国内で初めてR.I.V.E.Rs for Life Awardを受賞し、最も清浄な川と呼ばれるイフガオ州のラムート川を挙げた。