スペインの灌漑協会、世界の食糧問題には、再生水を利用した灌漑を推進すべきとの見解

スペインの灌漑の80%をカバーする70万の灌漑業者が加盟する全国灌漑協会FENACOREは、国連食糧農業機関FAOとスペイン政府が主催する食糧問題対策としての非伝統的水利用に関する国際シンポジウムで、世界の食糧問題は、乾燥農業の6倍の生産が可能な灌漑農業、また再生水や淡水化した海水を利用した灌漑を推進すべきとの見解を発表した。FENACOREによればこれにより、今後30年間で、世界の栄養不足の8億人よりも多い20億人分の食糧がまかなえるという。

FENACOREによれば、世界の栄養不良問題対策は、バイオテクノロジーに続いて、乾燥農業の最大6倍の生産が可能で、集約灌漑の場合は1ヘクタールで乾燥農業の40ヘクタール分の生産が出来る灌漑農業に進むべきである。また世界的に、乾燥農業による食糧増産の為に熱帯雨林や森林が破壊されるのを食い止めるのにも貢献する。

スペインでは、国内の農産物生産の65%が灌漑農業によるものではあるが、利用可能な農地の15%しか灌漑されていない。灌漑農業を推進して、増える食糧需要に備えるには、灌漑に使用する水を確保しなければならないが、乾季の深刻な水不足を考慮すると、伝統的な水資源を補足する代替水資源が必要となる。

この意味でFENACOREは、スペインにおける再生水の利用を増やすべきであると述べている。また海水淡水化も必要であるが、淡水化にあたってはエネルギーコストが高く、現在2%しか利用されていない。しかしアリカンテ県やムルシア県、アルメリア県などの水不足が深刻な地方では、灌漑業者にとって負担にならないコストであれば、淡水化も必要である。

FENACORE会長によれば、将来の食糧問題に対しては、まだ課題が解決されていない貯水池の水資源を補完するものとして、再生水や海水の淡水化による灌漑インフラへの公共投資のテコ入れが必要となる。

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