ドイツのジャーマンウォーターパートナーシップ(GWP)2014年次大会が6月24日、ベルリンで開催され、今年のテーマ「グローバル水市場への攻勢(Global Market Offensive Water)」を全面的にアピールした。ドイツ連邦政府が企画する「環境技術輸出イニシアチブ」政策を、水分野で展開するもの(以下のリンクに、GWPのプレスリリース)。
GWPは、世界水市場でドイツの立場を強めるため、同国の水企業、水研究機関、上下水道組合、政府省庁が進めている官民合同の戦略的イニシアチブで、約350団体が加入している。今年のテーマを通じてGWPは、次の2つの目標を追求しようとしている。
- 世界の水管理と水技術基盤の持続可能性を高める。
- ドイツの水部門の輸出額を年間12%増やす。
グローバル水市場への更なる攻勢をめざす
基調講演では、G.アドラー独連邦環境省事務次官が、「政府の輸出イニシアチブを水部門で具体化するための中軸概念が、『グローバル水市場への攻勢』だ」と指摘した。次にV.ゴハレ駐独インド大使も基調講演を行い、「多くの発展途上国では、必要な措置が政治レベルで考えられているが、住民の目覚めと意識変革こそ、始めにくるべきだ」と述べた。
次の、中小企業、大企業、研究者、連邦環境省の代表者などのシンポジウムではまず、ドイツ水部門が国際水市場に打って出る必要性をめぐって討論が行われた。また、≪水関連システム機器の完全ネットワーク化による自動制御≫という水部門の未来像をめぐっても、多数の意見が熱心に寄せられた。
地域ごとの市場戦略
午後のセッションでは、3つの分科会と1つのシンポジウムが行われた。後者では、大手水道事業者、ゲルゼンヴァッサー社のG.レステル取締役が「能力開発」について、浄水器メーカー、ブリタ社のM.ハンカマー氏が「市場参入戦略」について、またドイツ外務省援助給付課のC. ベルガー課長が「外国市場における外務省の支援実施状況」について、それぞれ所見を述べた。さらに、3つの分科会でなされた議論の要旨は次のとおりである。
ASEAN分科会:
「国家共同体の挑戦と可能性」をテーマに、個々の国のネットワーク化とその技術基盤、融資可能な製品の需要、法令遵守などが話し合われた。PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)その他のイニシアチブによるチャンスについても議論された。
アフリカ分科会:
ドイツ連邦経済協力省のアフリカ戦略を背景に、アフリカ諸国の既存の水プロジェクト、能力、プロジェクト理念などの情報が交換された。農業や教育、そして危機防止という超地域的な目標に焦点をあてるなら、水が重要な横断的テーマとなることが確認された。
中米分科会:
中米の地域統合を進める中米統合機構(SICA)加盟国の取り組みが紹介された。グアテマラ大使館のJ. コントレラス一等書記官が、自国の水部門の概要と問題点について説明した。