チリ銅資源局、銅鉱山の2014-2025年の水消費量見込みに関する報告書を発表 – 2025年までに海水利用率が36%となる見込み

チリ鉱物資源省の銅資源局は2014年12月23日、銅資源開発における水の消費量見込みに関する報告書を発表した。チリの銅資源開発は北部の乾燥地帯で行われており、水資源の使用や扱いは重要なテーマとなっている。報告書では、モンテカルロシミュレーションで得た結果として、今後淡水化プラントを建設する銅資源開発プロジェクトは、技術的・経済的に可能な限り増え続ける見込みで、2025年には海水利用率は36%に達すると予想されるとしている。特にアントファガスタ州では、2025年には海水消費量は淡水消費量の2倍に達すると見込まれている。

報告されている主な数値は、以下の通り。

全てのプロジェクトが計画通りに進んだ場合の、銅生産能力見込み(銅コンセントレート生産+SX-EW法によるカソード生産)。
2025年合計8500万トン(対2013年比47.8%増)。
コンセントレート生産: 2014年 3800万トン / 2025年7500万トン
カソード生産: 2014年  200万トン / 2025年 100万トン
カソード生産に使われる酸化鉱が自然減少して硫化鉱に移行している為、水を大量に使用する硫化鉱によるコンセントレート生産が増える傾向となっている。

銅鉱山開発での水消費量見込み(下図)。
2014年: 14.8 m3/sec
2025年: 24.6 m3/sec(2014年比で66%増)
なお水源別では、海水の消費量は2014年には1.7m3/sec(消費量全体の9%)だったものが、2025年には8.8m3/sec(消費量全体の36%)となる。いっぽうで淡水については、2014年の消費量は13.1m3/sec、2025年の消費量見込みは15.8m3/sec(21%増)である。全体に占める海水の割合は年々増加していき、2021年には35%を超えるものと予想されている。

f-053017_01
図 チリの銅鉱山開発での水消費量の予測(水源別)

州別水消費量見込み(下図)
2025年には15の銅開発プロジェクト稼動が予定されるアントファガスタ州(Antofagasta)では、銅開発全体の40%の水が消費される見込みとなっている。現在同州では淡水化プラントが6ヶ所あるほか、既存の淡水化プラント拡張や淡水供給網延長プロジェクトがある。またアタカマ州(Atacama)では、5つの淡水化プラント建設プロジェクトがあり、2025年には同州の銅開発での海水利用比率は40%近くに達する見込みとなっている。

f-053017_02
図 チリの銅鉱山開発での水消費量の予測(州別)

銅資源局の報告書は、以下のサイトからダウンロード可能(西語表記)。
http://www.cochilco.cl/Archivos/destacados/20150113161932_Proyeccion%20consumo%20de%20agua%20vf.pdf

タグ「」の記事:

2019年12月20日
チリの銅開発公社Codelco、丸紅のコンソーシアムが落札していた淡水化プラント建設の入札をキャンセル
2019年10月15日
チリの銅公社Cochilco、2018年度の銅鉱山での地表水、海水、再利用水の使用状況を発表
2019年7月27日
ラテンアメリカ淡水化及び水の再使用協会ALADYR、ペルーでの淡水化推進を強調
2019年7月24日
太陽光蒸気発生システムでほぼ100%の脱塩を実現――モナシュ大学
2019年6月20日
チリの銅鉱山会社AMSA、5億米ドルの淡水化プラントを建設すると発表