インドの水不足、国内の工業生産に大きな痛手――マハーラーシュトラ州の工業団地では35億ルピーの損失

2016年7月9日に現地で報じられたところによると、インドでは水不足が国内の工業生産に深刻な影響をもたらしており、マハーラーシュトラ州産業開発公社 (MIDC) が手掛けた3つの工業団地(Sinnar、Satpur、Ambad:いずれもマハーラーシュトラ州ナーシク)では、水不足による損失額はここ34カ月で約35億ルピー(約546000万円)に上るという

5月にはSinnar工業団地で工業用途の給水が停止

ダムの貯水量の低下を理由に、MIDCはこれら3カ所の工業団地で給水制限を実施しており、中でも最も深刻な状況のSinnar工業団地では5月、工業生産のための水の給水が停止された。この他の2か所(SatpurとAmbad)でも給水制限が実施されたが、Sinnarよりは軽度の制限にとどまった。インド最大の零細・中小企業ネットワークであるLaghu Udyog Bharatiの北マハーラーシュトラ事業部長、M. G. Kulkarni氏は次のように話す。「水不足は企業、特にSinnarエリアの企業に深刻な打撃を与えています。MIDCは3月から6月にかけて15%~100%の段階的な給水制限/断水を実施しました。Sinnar工業団地だけを見ると、工業生産の約60%に影響が出ています。ほとんどの企業が工場を閉め、残りの企業も生産量を減らしています。この地域における損失額は35億インドルピーにも達しますが、そのうちSinnarだけで30億インドルピーに相当する損失が出ているのです。」

顧客の注文に応えるため、やむなく他の地域から水を運んで生産する企業も

ただしその後雨季が始まったことで状況は徐々に改善し、生産を停止または抑制していた企業は生産を再開している。Sinnarに拠点を置くチューブ・パイプ製造会社、Jindal Saw社の関係者は次のように語った。「我が社は毎日90万リットルの水を必要とします。MIDCが完全な断水を実施したとき、我々は数日間工業生産を停止しました。しかしその後、注文に応えるため、私有のタンカーを使ってアフマドナガル県から水を運び生産を再開しました水を入手するため通常よりも多額の費用を支払わなければならず、それにより生産コストも上昇しました。」またこの他、製薬会社のMylan、ガラス容器メーカーのHindustan National Glass、食品会社のGeneral Millsなどの企業が水不足の影響を受けている。