インド・タミルナドゥ州において染色工場がノヤル川に廃液を放出しているとの報告を受け、タミルナドゥ州公害委員会(TNPCB)は2017年9月16日、ノヤル川とムダリパラヤムにあるマニカプラム農業用タンクの水質調査を実施した。
TNPCBの共同チーフ環境エンジニア率いる査察官チームは、タンクと川の水を対象に、総溶解固形分(TDS)濃度をテストした。 苦情の申し立てから10日後に試験を行った結果、ノヤル川のサンプルでは2600ppm、タンクのサンプルは1100ppmとの結果が出た。一方でTNPCBの関係者は、このTDSの測定結果は、手持ちの携帯型測定器を使用したため精度に疑念が残るといい、別途適切な試験機関における検査を実施すると説明した。
9月の第1週、カシパラヤムにある共通廃液処理プラントから産業排水が川に流入し、さらにマニカプラムのタンクに流れ込むRajavaikkal運河に排出されたことをマニカプラムの住人が発見した。この廃液処理プラントは、廃液を流してしまったのは偶然であって、故意ではないと話している。TNPCBはこの主張を却下し、同プラントおよびその利用者である23の染色会社を閉鎖した。TNPCB高官は、今回の調査について、通報があればいつでも実施する定期的な査察だと述べた。一方で、ティルプール染色業者協会は26回目の年次総会を開催し、州政府に対し電気料金を単位あたり2インドルピー(約3.4円)に下げるよう要求した。同協会によれば、廃水処理費用を含めた高額なコストが、廃水ゼロ(ZLD)基準に反するこうした廃水の投棄につながっているという。また、同協会は中央政府に対して、ZLDを国内すべての領域で実施するよう要請した。そうでなければティプールの染色・漂白産業は不平等な地平で競争を強いられることになると協会は主張する。
なお、2011年にマドラス高等裁判所が廃液処理施設を保有していない染色工場を閉鎖した際、中央政府はティプールに廃液処理施設を設置するため20億インドルピー(約34億円)を無利子で融資した。現在、同協会は染色業界の資金難を理由として、この融資を帳消しするよう中央政府に要請している。