中国の国家発展改革委員会と国会海洋局は、2017年12月5日、「島嶼海水淡水化プラント実施計画」を発表した。中国に存在する1万1000以上の島嶼は、国土資源の重要な構成要素であり、海洋資源開発や生態環境保護などの分野においても重要な役割を担っているが、現在、経済の発展や旅行客の増加に伴い、島嶼において深刻な水不足が生じており、安定した水の供給確保が求められている。また、国の政策に基づき、海水利用産業を強化し、海水淡水化における国産設備の性能や技術力を引き上げる必要もある。上記の課題に対応するため、今回の実施計画が発表された。
同実施計画では、遼寧省、青島市、浙江省、福建省、海南省など海沿いの省や市において、3年~5年という期間にわたり、100余りの島嶼で海水淡水化プラントの建設や高度化改造を実施し、1日あたりの淡水化量60万トンを目指すという目標が打ち出されている。
同実施計画では、以下の重点課題も提示されている。
- 大型・中型海水淡水化プラント建設の推進
面積が大きく、常住人口が1000人以上の島嶼、または旅行業がメインの島嶼で、大型・中型海水淡水化プラント(主に公共水道プラントで、1日あたりの淡水化量1000トン以上)を建設し、住民の生活用水の安全性を確保する。石油化学業、漁業、交通輸送などを主要産業とする島嶼では、2地点間を直接接続して水の供給を行う大型・中型海水淡水化プラントを建設し、工業用水における需要を満たす。2020年までに、1日あたりの淡水化量60万トン増を目指す。
- 小型海水淡水化プラントの建設
面積が小さく、常住人口が1000人以下の島嶼などに、小型の海水淡水化設備(1日あたりの淡水化量1000トン未満)を設置し、淡水化された海水を主な供給源とする枠組みを段階的に構築していく。人口の少ない島については、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギーを組み合わせた小型の海水淡水化設備の設置を奨励する。2020年までに、1日あたりの淡水化量1万トン増を目指す。
- 海水淡水化設備の高度化改造の強化
老朽化した設備の高度化改造や廃棄処分を実施する。ディーゼル発電を利用した海水淡水化を奨励し、高度化改造を実施する設備には、新エネルギーを組み合わせた発電方式を採用する。2020年までに、5~10の島嶼で海水淡水化技術高度化改造プロジェクトを実施および完了する。
- 投資や市場化運営における枠組みの整備
既存の財政政策を活用し、技術革新や応用に対する投資の枠組みを整備する。島嶼の海水淡水化プラントや水道管網建設に助成金を交付するよう地方政府を奨励し、条件を満たした海水淡水化企業に対しては、水道料金の助成を実施する。島嶼の水道料金については、市場化運営の実施を奨励し、使用者、政府、企業それぞれにメリットをもたらす枠組みを作り上げ、海水淡水化による給水における市場化モデルの革新を図る。
なお、「島嶼海水淡水化プラント実施計画」の原文については、以下のURLよりダウンロード可能である(中国語簡体字)。
http://www.ndrc.gov.cn/gzdt/201712/t20171212_870239.html