ガーナのテシ淡水化プラント、契約再交渉のために運転停止

ガーナ南海岸のテシ淡水化プラントが、政府と事業者との契約の再交渉のために運転を停止した。この淡水化事業で、政府は毎月600万セディ(約1億5000万円)を負担しているといわれている。これについて、国有の水道ユーティリティであるGhana Water Company Limited(GWCL)のStanley Martey広報部長は、「プラントは、再交渉のために2018年1月1日から停止しており、再交渉の結論がどう出ようとも、それが実行に移される」と述べている。プラントの停止期間中、テシとその周辺の住民には近隣のテーマとアクマの昇圧ポンプ場から水が供給される。ただしMartey広報部長によると、「このような事情なので、水の供給は週に7日ではなく週に3日ないし4日になるだろう」という。

Martey広報部長は再交渉の詳細について明らかにしていないが、この淡水化プラントにまつわる財政上の損害に関してGWCLが以前から懸念を表明していたことを繰り返し指摘している。同広報部長は、テシ淡水化プラントは「GWCLの財政にマイナスの影響がある」とし、「これは他の投資にも影響するものだから、再交渉によって契約条件を緩和し、すべての当事者が満足いくようにしたい」と述べている。

経緯

2011年、ガーナ政府は、Abengoa Water Investments Ghana、Daye Water Investment (Ghana)、およびそれら2社の現地パートナーであるHydrocolから成る合弁企業のBefesa Desalination Development Ghanaに対し、GWCLのパイプラインに接続して水を供給する海水淡水化プラントの設計・建設・運転を発注した。実際の建設にはエンジニアリング会社のMessrs Befesa Limitedが政府との契約によってあたり、同社が25年間運転したのち、GWCLに引き渡すことになっている。プロジェクトの資金面での実施主体は、スペインのAbengoaと日本の双日で、両社がプロジェクトのエクイティの94%を保有している[1]

淡水化プラントのすべてのコストは最終的にはGWCLが負担する。GWCLはプラントでつくられた水を1m3あたりおよそ6.5セディ(約160円)で買い取り、公益事業規制委員会が定めるおよそ1.5セディ(約40円)で販売している。つまり、GWCLは、テシ淡水化プラントからの水を1m3売るたびにおよそ5セディ(約120円)を失っていることになる。これを全体として見ると、GWCLは月に800万セディ(約2億円)を淡水化プロジェクトの出資者に支払っているが、プラントからの水の販売ではわずか200万セディ(約5000万円)しか得ていないことになる。

[1] EWBJ38号に関連記事あり「Abengoa、ガーナに海水淡水化プラントを建設――同社として西アフリカで初めての淡水化事業

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