チリの鉱山庁コチルコ(Cochilco)が2018年1月に発表した報告書「2017-2028年鉱山開発における水使用量見通し(Proyección de consumo de agua en la minería del cobre 2017-2028)[1]」によると、チリの銅鉱山開発での2028年の海水使用量は、2016年の約3倍になる見通しとなっている。報告書によれば、2016年の銅鉱山開発での海水の使用量は2.9 m3/秒であったが、2028年には11.2 m3/秒となり、一方地表水の使用は2016年には12.3 m3/秒だったのが 2028年には11.5 m3/秒と、6.3%減少する見込みとなっている(下図)。
図 水源別2016-2028年の水使用量見通し
(出典:Cochilco、2017-2028年鉱山開発における水使用量見通し)
地方別では、海水の使用が一番増えるのはアントファガスタ州で、2028年には対2016年比約2.5倍の8.28 m3/秒の使用が見込まれている。二番目はアタカマ州で、2028年の海水使用量は対2016年比2.2倍の 1.57 m3/秒となる見通しとなっている(下図)。
図 地域別の海水使用量見通し
(出典:Cochilco、2017-2028年鉱山開発における水使用量見通し)
プロセス別の水の使用量は、銅精鉱プロセスは以下のグラフの通り、銅精錬は75%増加するが、湿式精錬プロセスは51.7%減少する。
図 プロセス別の水の使用量見通し
(出典:Cochilco、2017-2028年鉱山開発における水使用量見通し)
報告書では、海水使用の増加により地表水の水不足問題は解決されるが、鉱山開発からの排水による水質問題は残っており、水源がどこであっても適切な水の処理が必要であることが言及されている。また報告書では、海水使用増加に伴って建設が計画されている淡水化プラントとして、2019年のBHPビリトンの子会社スペンス社の淡水化プラント(三井物産50%出資)、2021年のコデルコの北部淡水化プラント、2021年のTeck鉱山のケブラダ・ブランカ淡水化プラントのフェーズ2が挙げられている。
[1] https://www.cochilco.cl/Listado%20Temtico/Proyeccion%20de%20consumo%20de%20agua%20en%20la%20mineria%20del%20cobre%202017-2028%20V4.pdf