フィンランド安全化学品庁(TUKES)が2018年1月16日、同国南西部のトゥルク市都市部の下水や排水から有害な化学物質が検出されたと発表した。フィンランドのトゥルク応用科学大学はこのほど、トゥルク市の工業地区、居住地区、ショッピングセンターから排出された下水の水質調査を実施した。その結果、フタル酸エステル類、ビスフェノールA、アルキルフェノール類、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、金属等が検出された。研究者によると、これら物質がもたらす健康リスクについて結論を出すのは時期尚早であるものの、これら物質が排水に広範に存在している点が注目に値するという。同大学の専門家Piia Leskinen氏によると、「今回の調査から、リスクの大きさを判断することは困難である。ただし、有害な化学物質を使用し続けるのを望むのかどうか、また、人間の健康や生態系を長期的に危険にさらす可能性があるかどうかを議論することは良いことである」という。
非常に残留性の強い化合物は、時間が経過するうちに問題になることがある。 たとえば、PFOSの使用は2008年以来、フィンランドで厳しく制限されている。しかし、トゥルク市のサンプルのほぼすべてから検出された。 Leskinen氏によると、この現象は、部分的にPFOSが置換される可能性のあるパーフルオロ化合物が時とともに分解され、PFOSに変わることがあるためであるという。
本調査は、いわゆる「NonHazCity欧州プロジェクト」に基づき実施されている多くの地域調査の1つである。その予算は、INTERREGバルト海地域資金計画から出ている。またその目的は、都市に存在する有害物質の現状を把握するとともに、バルト海を取り巻く都市環境への危険性を減らすことを目的としている。現在このプロジェクトには、ドイツ、ポーランド、スウェーデン、フィンランド、エストニア、ラトヴィア、リトアニアから18の都市や諸組織が参加している。
トゥルク応用科学大学のHannamaria Yliruusiプロジェクト責任者は、「望ましくない物質を削減し、安全で健康的な環境を作り出す責任は、あらゆるレベルの社会に均等に割り振られている。法律や制限措置だけでなく、政治的な意思が重要である。たとえば、スウェーデンの多くの都市は、有害物質の削減に積極的な役割を果たしている」と述べている。トゥルク市では、市の公共調達にあたり、有害物質をどのように考慮に入れたらよいのかの調査も進めている。今回のプロジェクトを通じて、有害物質に関する情報が同市の公共調達部門に報告されることになっている。