2018年3月15日に現地で報じられたところによると、インドで一部の染色工場がゼロ廃液基準(ZLD)を遵守せず、低いコストにより顧客を獲得し、周囲の正規工場を逼迫しているという。これは、タミルナドゥ州のティルプール染色組合(DAT:Dyers Association of Tirupur)が首席大臣に書面で通告したもの。DATによれば、ティルプール外にZLD基準を遵守していない工場が複数存在し、これによりティルプールの染色工場が競争力を削がれているという。通告に詳しい企業名は明示されていなかったが、情報筋によるとカーヴィリ川沿いのエロードおよびナーマッカル地区の企業を指しているという。
一次処理もせず夜間に廃液を放出
ティルプールにある染色工場の社長は次のように説明する。「コマラパラヤムやパリパラヤム、コッコラヤンペッタイなどの地域で、多くの工場がカーヴィリ川沿いに建てられています。これは、工場から出る廃液を、一次処理すらすることなくカーヴィリ川にそのまま放出することができるためです。こうした工場は、川が干上がる4カ月間、問題に直面するでしょう。我々は、これらの企業が夜間、染色廃液を処理せずに川に流しているとの報告を受けています。しかし、タミルナドゥ公害管理委員会は彼らに対し何ら措置をとっていません」
また他の染色工場の代表は次のようにコメントした。「我々は染色液を処理するため、1リットルあたり25パイサ(約0.4円)のコストを支払っています。これは繊維1kgあたり25インドルピー(約40円)になります。しかしこうしたカーヴィリ川沿いの不法な工場はZLDを遵守してないため、こうしたコストがかかりません。そのコストの安さで顧客を獲得しているのです。我々はこれら近隣の地区や、さらにマイソールやカルナータカといった地域に多くの仕事を奪われてきました。我々の業界は、すでに物品・サービス税(GST)の導入からも束縛を受けており、ダブルの制約に苦しんでいます。」
公害管理委員会3ヶ所の共通廃液処理プラント建設へ
タミルナドゥ公害管理委員会(コマラパラヤムユニット)の環境エンジニアD Jayalakshmi氏は次のように述べた。「ここでは約250軒の工場が稼働していますが、そのうち正規に登記された工場は150軒のみです。我々は基準に違反している不法な工場を62軒封鎖しました。」同氏によると、州政府は3箇所の共通廃液処理プラントの建設に向けて準備を進めているという。「コマラパラヤムユニットは最近、染色工場による環境法令違反を取り締まるために設置されました。」業界の情報筋によると、エロードおよびナーマッカル地区には400の工場が稼働しており、そのうちの40%がZLD基準を遵守していないという。