Veolia South Africa、水処理化学品の製造工場を南アフリカに新設―-コスト優位性を活かして先進国への輸出も視野に

Veolia社傘下のVeolia Water Technologies South Africa(以下、Veolia South Africa)は2018年6月28日、南アフリカのケンプトンパーク・ポモナに水処理用化学品製造工場を新設したことを明らかにした。同工場は、アフリカ地域の製造拠点となるほか、イタリアやフランスなどにて操業する他の化学品製造工場と比較して製造コストが低廉でありコスト競争力があるとしている。

Veolia Water Technologies South Africa社は、アフリカ地域に位置する自社顧客への輸出を目的として、6600 m2に上る新規製造工場を、南アフリカのケンプトンパーク・ポモナに開設した。同工場では、Veoliaが開発する水処理薬品“Hydrex”の一環として40種類以上の化学製品を製造する。“Hydrex”には、上下水処理薬剤、ボイラや冷却塔向け薬剤、凝集剤、逆浸透膜清浄薬剤を始め、特定の用途で使用される混合薬品などが含まれる。新規工場では、既存のSebenza/Isando工場と合わせて、月当たり500トンに上る水処理薬品を製造する。さらに、操業体制として現在採用している1交替制(1日8時間)を3交替制(シフト)へ完全移行すれば、同工場の製造能力を月当たり1500トンへ拡大することも可能となる。また、既存工場では、原材料と最終製品とを貯蔵するスペースが不十分であることが課題であった。そのため、新規工場では貯蔵容量が十分に確保され、必要に応じて生産量を3倍へ拡大することができる。

今回開設された新規工場は廃液を出さず、雨水を捕集するとともに、産業排水の90%を再生、再利用する。同工場では、化学製品の混合やパッケージ(コンテナ)の洗浄にて使用される水を全て回収し、その後排水処理施設へ送られる。同施設では、石灰を用いてpH(水素指数)を維持し、蒸発により排水の90%を再生する。残留したスラッジは認定された産業廃棄物処理企業によって除去される。

さらに新規工場には、製品の試験や認証を行う自社研究施設が付随されている。製品の試験や品質保証の手続きは、国際基準化機構(ISO)の基準や国内基準を遵守している。また、南アフリカ基準局(SABS:South Africa Bureau of Standards)1827、1828、1829といった3種類に上る飲食料品用の化学製品を対象とした認証もすでに有している。Veolia South Africa社事業開発マネージャーのChris Braybrooke氏は、「我々は既に、モロッコ国内にて使用される輸出向け化学製品を製造している。また、地元顧客向けに、化学製品を製造する混合器を使用しているブラジルへも輸出機会がある」と述べている。また、Veolia South Africa社マネジングディレクタを務めるArnaud Gisclon氏は、新規工場は発展途上国(主にアフリカ地域)での操業を支援するほか、コスト優位性の観点から先進国などの他諸国への輸出も促進するとしている。同社は既にカタール系企業へ化学製品を供給した実績を有している。

新規工場はまた、様々な既存製品をパッケージ化したソリューションを開発するSebenza Engineered Systems施設を補完する役割も担っている。Sebenza施設では、地方自治体や産業用途、排水処理など、アフリカ国内における特定市場を対象として、350件に上るの特許技術群を組み合わせた製品等をパッケージ化したVeolia社ソリューションも製造している。Veolia South Africa社のBraybrooke氏は、「我々は、『Ambitions for Africa』イニシアティブの二本柱として、新規工場の生産容量の拡大とパッケージ化したソリューションに対する需要への対応を進めている。アフリカ地域に事業展開する大手多国籍企業である我が社は、同地域において広範囲に水供給を行う大規模な集約型上水浄化プラントではなく、地域コミュニティを対象とした小規模なパッケージ化したソリューションに対する需要があると、認識している」と述べた。

アフリカ地域でのその他の展開

Veolia South Africa社のGisclon氏によると、Veolia South Africaは、大規模な上水処理施設の設計や建設を手掛けているものの、特にアフリカではローカル且つ小規模なソリューションの需要が増大している。同社は既に、アフリカ南部の山岳地帯に位置するレソト王国にて、4輪駆動の移動式上水処理プラントを設計、開発している[1]。利用可能なあやゆる水資源を同プラントにて浄化、逆浸透と薬品注入により飲料水を生成し、タンクに貯水する。その後、貯水タンクは小規模なコミュニティへ供給され、直接家庭へ配水される。

[1] 河川水を1日当たり200m3処理可能な車載型プラント。セラミック製UF膜を搭載。
http://www.veoliawatertechnologies.co.za/news-media/news/2017-05-16,Lesotho-potable-plants-mobile-portable-2017.htm