チリ水一般局、銅鉱山開発地域での淡水使用禁止区域を30ヵ所から70ヵ所に増やすと発表

チリの水一般局DGAは、チリ北部の乾燥地帯の水資源確保のため淡水使用を規制する方針であると、2019年2月22日に報道された。世界最大の銅産出国であるチリでは、銅の鉱山開発は北部の乾燥地域で行われているが、地元住民から生活水用の水不足の苦情が出ている。この為DGAの局長は、全国レベルで、鉱業の淡水使用禁止地区を今年中に30ヵ所から最低70ヵ所に増やすと発表した。淡水使用禁止地区では、今後新しい使用ライセンスは発行されず、既存の使用ライセンスの拡張にあたっては環境当局の承認が必要となる。新しい禁止地区で活動する鉱山がいくつかあるが、水使用権への投機を避けるため、どの場所が禁止地区になるかの発表は避けられている。

DGA局長によれば、現在補充される以上の量の淡水を使用している銅鉱山があり、水資源の持続可能性が脅かされている。北部のアタカマ砂漠には世界最大級の銅やリチウム鉱山が存在するが、散発的に大雨や洪水に見舞われることはあっても、同地域はここ数十年で世界で最も乾燥した地域となっている。

チリでは、銅の生産レベルを維持する為に鉱山開発に関する法規制がゆるくなっており、水の需要も増えることが見込まれている。銅開発企業は海水の淡水化プラントを建設しており、チリ銅鉱山庁Cochilcoによれば2029年までには海水使用は3倍に増えることが見込まれているが、同様に淡水の使用も2029年までに12%増加することが指摘されている。

現在、アタカマ砂漠地域にあるBHP社の世界最大級のエスコンディータ銅鉱山と、北部のアントファガスタ州のサルディバル鉱山が、アタカマ地域南部からの地下水汲み上げ許可の拡張を申請している。また北部では、アルベマール社とSQM社がリチウムの鉱山開発を行っている。

エスコンディータ銅鉱山は1400リットル/秒の淡水使用許可を取得しているが、2020年から2030年の間に640リットル/秒に削減することを約束しており、昨年投資総額34億米ドルの淡水化プラントを開所した。サルディバル鉱山の場合は海水使用などの代替プランはなく、淡水使用ライセンスが更新されなければ閉山せざるを得ないと同社は述べている。サルディバル鉱山は資源開発期限の末期にあり、2029年には開発が終わる見込みとなっている。同社は現在2025年までの500リットル/秒の使用ライセンスを取得しているが、2029年まで213リットル/秒の使用ライセンスを申請している。