Veolia Water North Americaのアウトソーシング受託事業

アメリカにおけるVeoliaのアウトソーシング受託事業の売上は、2008年に11%伸びた。これは、2007年末にUnited Waterに競り勝って獲得したミルウォーキーの下水処理契約によるところが大きい。

2008年、Veoliaは官需(自治体の上下水道関連)と民需(産業用水処理関連)のどちらにおいても売上を伸ばした(官需では4億3800万ドルから4億9000万ドルへ、民需では1億2700万ドルから1億3800万ドルへ売上が伸びた)が、自治体の最大級のDBO契約はいずれも逃している。

Veoliaが2008年に獲得したなかでも比較的大きなコネチカット州ニューロンドン市およびケンタッキー州ハーディン郡との契約は、いずれも年初に成立したもので、それまでVeoliaのビジネスといえば伝統的にもっぱらプラントの運転に重点を置いたものだったが、ニューロンドンの10年間の運転・保守契約には、顧客サービスと資産管理も含まれている。

これについてVeolia Water AmericasのLaurent Auguste CEOはこう述べている。「ニューロンドンがわれわれにとっておもしろいのは、仕事の範囲が広いことで、これこそ、われわれがアメリカで求めているものだ。われわれのいちばんの関心は、こと水に関するかぎり、ありとあらゆる仕事を引き受けることにある。地下資産の管理はわれわれにとって大きなテーマで、2008年はこれがわれわれの能力を伸ばす上でひとつの強みになっていた――そこには大きなニーズがあるに違いないのだ」

おそらく、Veoliaにとって2008年の最もよろこばしい成果は、鉄鋼メーカーのThyssenKrupp(TK)から獲得した期間10年間の産業用水処理のDBO契約だろう。これは、TK社がアラバマ州キャルバートに建設中の炭素鋼とステンレス鋼の処理施設にプロセス用水を供給するもので、この契約獲得についてAuguste CEOはこう述べている。「これはわれわれにとってきわめて重要な契約であるとともに、Veolia Water Solutions & Technologies(VWST)とチームを組んだときのわれわれの実力を見せられるという点でも、きわめて有意義なものだ」

Auguste CEOはまた、Veolia Water North Americaの自治体顧客向けのDBOビジネスにおいても、VWSTの技術ソリューションがバリュー・プロポジションに役立つと考えている。自治体顧客向けビジネスにおいて、Veoliaが2008年にチャンスを捉えきれなかったことを、Auguste CEOは率直に認めている。「スポケーンやサンタポーラでの契約獲得をねらっていたが、その機会を逸したのには、がっかりした。これらのプロジェクトについては、たぶん、もっとよい戦略的アプローチがありえただろう」

Veoliaは2008年には競合他社に苦しめられたものの、Auguste CEOは、2009年以降に続々とおとずれるであろうDBO契約のチャンスをつかむには、自社が以前よりも有利な立場にあると考えている。「われわれにはその準備がととのっている。2008年と2009年はわれわれにとって準備の年で、本格的にエンジンがかかるのはそのあとだ」

Veolia Water North Americaは2008年に本社をヒューストンからシカゴへ移したが、それはいくつかの予期しない結果を生んだ。そのうちのひとつが、多くのスタッフが南部から北部へ移り住もうとしなかったことだ。これは、2008年春に日本から転勤し、それまでJoe Burgessが就いていたVeolia Water North Americaのトップの座を引き継いだAugusteにとっては、驚きだった。しかし、Augusteはスタッフの減少にひるむことはなかった。「われわれはいま、スタッフを強化しているところだ――チームを一新し、ある程度までかたちを整えることができた――だが、これはまだ終わったわけではない。より大きな成長を遂げたいと思うなら、きわめて強力なサポート・チームが必要なのだ」

収益性についての質問に、Auguste CEOは改善の余地があることを認め、さらに、拍子抜けするくらいに単純なことばで戦略を語った。「きわめて簡単な話だ。効率的であること――コストの徹底的な削減に加えて、プラントの最適化をはかることだ。これが最終損益に影響してくるし、また、ビジネス展開の能力という観点からも、われわれを強化してくれる」

Augusteは、2009年にふたたび2桁の売上の伸びを記録したいと考えているが、しかし、それだけが自分の存在理由ではないことも、しきりに強調している。「われわれにとって、成長が戦略の一部であることはまちがいないが、それは企業エゴで言っているのではない。すぐれた運転能力こそがわれわれにとって最重要事項でなければならず、また、われわれが抱いている大きな望みのなかには、北米の水ビジネスにおいて最も魅力的な企業になることも含まれている」

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