Siemens、豪サザン海水淡水化プラントの前処理システムを受注――Water Corporation社との連合で受注

Siemens Water Technologies社が2009年12月に明らかにしたところでは、同社はオーストラリアのパースに建設中のサザン海水淡水化プラント(SSDP:Southern Seawater Desalination Plant)向けに、その前処理装置として処理容量95MGD(あるいは360MLD)の加圧式膜濾過システムを供給する。これは、サザン海水合弁事業体(SSJV:Southern Seawater Joint Venture)がパース市の南にあるBenningupに位置するWater Corporation社の淡水化プラント向けに処理能力95MGDの膜処理システムを供給する数億円規模の契約をSiemens社に委託したことによるものである。完成すると、この造水能力40MGDのプラントによって、パース市の水道水の約15%がまかなわれる。現在存在しているPerth Seawater Desalination Plantは同市の水道水供給量の17%を供給しており、この新たなサザン海水淡水化プラントが2011年に運転開始されれば、パース市の水道水の約30%が気候に影響されない海水から供給されることになる。

このSSDP建設プロジェクトは、Water Corporationと、Worley Parsons, Valoriza Agua, Tecnicas Reunidas 及びAJ Lucasなどの企業で構成される上述のサザン海水合弁事業体(SSJV)との連合で実施される。

具体的には、Siemens社が10機のSeablock膜濾過装置を供給し、各装置には912個の中空糸膜モジュールが組み込まれている。この革新的な技術は、淡水化や廃水再利用に使われる逆浸透膜の前処理装置としてますます評価が高まってきている。

この合弁事業体SSJVは、従来の技術と比較した場合、下記のような点で優れているとしてSiemens社のMemcor 膜技術を選定したという。

《Memcor膜技術の優れた点》

  • システム用の敷地を減らすことができる
  • 操作が簡単である
  • 凝集剤を追加しなくても給水を処理することができる
  • エネルギーコストが小さい
  • ダウンストリーム方式の逆浸透膜装置への給水の水質が改善される

この前処理装置は、オーストラリアのSiemens社の工場で製造されるとともに、技術エンジニアリングメンでの設計やサービスの支援もオーストラリアの現地スタッフによって提供される。

Siemens社が提供するSeablock加圧式膜システムは、淡水化プラントの前処理用には理想的なものである。コンパクトでモジュール方式であることから、設置や運転開始が短期間で行われ、また将来における造水能力増大の要求にも新たな敷地を必要とせずに拡張できる。膜モジュールはアレイに前以って装填され、最大8つのアレイがひとつのユニットを組み立てるために結合される。1ユニットには、共通の配管やバルブ及び制御装置が使われている。

Seablock膜システムの場合、他の膜システムと比較して、設置面積が平均的に30%も少なくて済む。また、検証可能なバリアを0.04μと設定した場合、この膜システムは、供給水の凝固やダウンストリーム型カートリッジフィルターを必要としないで、従来の技術と比較して優れたシルト密度指数(SDI)を保証してくれる。従来のものよりもいっそう効率的で、設計も設置も容易なシステムであるため、温室効果ガスの発生量が削減されるだけでなく、2つの部分で構成される膜利用淡水化プラントの運転の総コストも削減される。

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