現地メディアによると、ブルガリア政府は、国内に49ある上下水事業体のうち、48事業体で民間コンセッション契約を進めていくことを計画している。これはロセン・プレヴネリーエフ(Rosen Plevneliev)地域開発大臣の発言に依拠したものである。
同時に同大臣は、ブルガリア上下水道事業において、これまでに実施に移された唯一のPPP事業である、首都ソフィアにおけるSofiyska Voda社との上下水道コンセッション事業に対する不服を唱えている。コンセッショネアであるSofiyska Voda社は10年前に、同地の上下水道網への投資を急ピッチで推し進めることを約束しておきながら、実際は部分的にしか実行に移していない。
コンセッション契約は上下水道事業において最も頻繁に利用されている契約形態である。コンセッションの利点は、公共部門が、民間資金の潜在的な利点を最大限に活用しながら民間企業に建設、維持管理、運営、管理および投資を委託し、関連する商業および投資リスクを移転できることにある。一方のコンセッショネアは投資や運営を一括して行い、効率的な投資および技術開発を自主的に進めることによって、収益を増やすことができる。契約期間は通常25年以上となっている。
ブルガリアには、いまだ廃水処理施設を持たない、住民数1万人以上の市町村が70以上ある。また、配水管および給水管にかなりの数の漏水箇所があるため、飲料水の50%~70%が無駄になっていると見られている。
同国の上下水道の近代化を早急に推し進めるには、約35億~40億ユーロ(約4,365億~5,000億円)が必要と見られているが、助成期間2007年~2013/2015年にブルガリアの上下水道事業に割り当てられているEU資金はわずか10億ユーロ(約1,247億円)強に過ぎず、民間会社の活用が不可欠となっている。
こうした国内の危機的な状況の中、計画されているコンセッション事業に対する期待は非常に大きい。契約期間はいずれも25~35年の予定である。