Veolia Waterは2010年6月14日、United Utilitiesのヨーロッパにおける事業の一部買収へ向けた合意書に署名したことを明らかにした。
この買収の一環としてVeolia Waterは、ブルガリアのソフィアで130万人の住民に上水供給・処理サービスを提供しているSofiyska Vodaの経営支配権(58%)を取得する。Veoliaはこれまでも、ベルリン、プラハ、ブカレストなどを中心に、中東欧諸国への事業展開を成功裏に進めてきたが、今回のSofiyska Vodaの経営支配権取得により、重点地域における大規模事業による有機的成長という同社の戦略がさらに促進されることになる。これは、業績のさらなる向上をめざす経営プログラムの推進と、顧客との絆のよりいっそうの緊密化につながり、ひいてはVeoliaの競争力を底上げする原動力となる。
また、Veolia Waterは、エストニアのタリンで40万人に上水供給・処理サービスを提供しているAS Tallinna Vesiの株式の26%を取得し、事業者としては最大の株主となる。さらに、ポーランド南部のビエルスコ・ビアバとその周辺で30万人に上水供給・処理サービスを提供しているAqua SAの株式の33%を取得することになっている。
中東欧におけるこの新たな事業展開、特にソフィアにおけるそれは、Veolia Vodaが中心になって推進することになる。Veolia Vodaは、2007年以来ヨーロッパ復興開発銀行(EBRD)と提携しており、また、2010年6月には、国際金融公社(IFC)が株主割当増資により株式の9.5%を取得したことを明らかにしている。
イギリスにおいては、Veolia Waterはアウトソーシング、産業用エンジニアリング、およびインフラ請負といった事業の買収を進めている。これらは既存の事業活動と相俟って、底堅い成長とシナジー効果をもたらし、Veolia Waterをイギリスの規制対象外水ビジネスにおけるトップ・プレーヤーにのし上げることだろう。こうした事業に加えて、Veolia Waterはスコットランドにおける3件のPFI事業(テイ、マレー、およびハイランドの下水処理プラント)の一部の権利を獲得している。
今回の一連の買収の総額は、企業価値にして約1億9900万ユーロ(約227億円)にのぼる。Veolia VodaへのIFCの資本参加、およびEBRDによるコミットメントを加味すると、これら買収が2010年の純負債におよぼす影響は合計でおよそ1億5900万ユーロ(約181億円)になる。
Veolia Waterによるこれらの買収は、競争促進委員会をはじめとする行政機関の審査、大陸ヨーロッパ(ただしポーランドを除く)の事業についてのEBRDの承認など、通常の事前手続を待って完了することになっている。Veolia Waterは、買収手続がすべて完了したあと、そこに含まれている過半数未満の株式持分の一部について見直すことにしている。
進行中のこれらの買収は、対象を大きな有機的成長のポテンシャルがある企業に絞ったもので、Veolia Environmentの資産ローテーションの戦略に完全に合致し、資金回収期間も目標に見合っており、Veoliaの競争力をさらに底上げするものといえる。