米オバマ政権は2011年4月27日、アメリカの水を守る国の総合的取り組みについて示す水質浄化の枠組を公表した。この枠組では、国民の健康と水質を守り、国のエネルギーと経済の安全を高めるために、州、地方自治体、さまざまなステークホルダー、および国民との協力が重要であることが強調されている。枠組の柱となる事項は以下のとおりである。
- 水質改善や水の持続可能な供給へ向けた革新的アプローチについて、州、先住民部族、地方自治体、およびさまざまなステークホルダーと協力して事に当たる。
- チェサピーク湾、カリフォルニア州の湾とデルタ、五大湖、メキシコ湾、エバーグレーズ湿地等の水質回復に努める。
- 飲料水中の汚染物質を減らして国民の健康を守る。
- レクレーションなどで水に親しむ機会を増すとともに、地方の水辺の景観を守る。
- 水資源ガイドラインを近代化し、水質浄化法適用範囲に関する国のガイダンスを更新する。
- 水問題を解決するための科学的取り組みを支援する。
水質浄化法適用範囲のガイダンス案:
この水質浄化の総合的枠組の一環として環境保護庁(EPA)と陸軍工兵団は2011年4月27日、どの水域が連邦の水質浄化法のもとで汚染から保護されるべきかを判断するためのガイダンスの案を公表した。このガイダンスが正式のものとなれば、現在よりも広い範囲の水域が水質浄化法による保護の対象となる。このガイダンスは、排出許可、石油流出の防止と対策、湿地帯保護など、水質浄化法関連のすべてのプログラムに適用される。
このガイダンス案は、これまでのガイダンスの不備を補うことをめざしている。2003年と2008年に公布されたこれまでのガイダンスでは、水質浄化法の対象となる水域の定義が狭くなりがちであった。また、水質の保護という点でも甘いところがあった。また、今回のガイダンス案は、大きな河川や湾などに流れ込む中小河川の保護の必要性を述べるとともに、汚染物質を濾過し、洪水を防ぐ役割を担っている湿地帯の保護についても言及している。
なお、EPAはこのガイダンス案とともに、それが産業界にあたえるコスト負担のほぼ2倍のメリットをもたらすという費用便益性分析の結果も公表している。