GE、NRG Energy、ConocoPhillipsのJV、イスラエルで廃水利用発電に投資

GE、NRG Energy、およびConocoPhillipsの3社の共同事業体、Energy Technology Venturesはこのほど、革新的な廃水処理技術をもつイスラエル企業、Emefcy Ltdに事業展開のための資金を提供した。これは、Energy Technology Venturesとしては初のアメリカ国外への投資であり、また、初の水ビジネス関連の投資でもある。

エネルギーを生み、排出削減にも寄与する革新的な技術:

Emefcyの技術は、これまで大量のエネルギーを湯水のように消費していた廃水処理を発電のエネルギー源に変えるもので、天然のバクテリアを利用した起電バイオリアクターで廃水を処理する。この方法によると、廃水中の有機物が発電と廃水処理を同時におこない、廃水処理というプロセスを、これまでのエネルギー集約型でコストがかかり、しかも炭素排出量の多いものから、エネルギーを生み出し、炭素排出量を減らすプロセスに変えることができる。

この技術には、経済と環境の両面でメリットがある。従来の廃水処理は、全世界で発電容量の2%(8万メガワット、二酸化炭素排出量は年間5700万トン)を消費し、年間400億ドル(約3兆1000億円)の費用がかかっている。Emefcyの技術は、廃水処理プラントに従来のエネルギー集約型の好気プロセスや、メタンを発生する嫌気性消化を使うことなく、廃水から再生可能エネルギーを直接得てそれを電力として電力網へ送ることができるため、エネルギー・ポジティブな(エネルギーを消費するのではなく、逆に生み出す)廃水処理プラントが可能となる。当面の応用分野としては、食品、飲料、医薬品、および化学業界の廃水処理が考えられており、その市場規模は合わせて年間100億ドル(約7億7000万円)にのぼる。

2011年内には完全実用化:

Emefcyへの今回の資金提供には、Energy Technology Venturesのほかに、Pond Venture Partners、Plan B Ventures、およびIsrael Cleantech Venturesが参加しているが、投資額等の詳細は明らかにされていない。

EmefcyのEytan Levy CEOは、この資金提供について次のように述べている。「われわれはEnergy Technology Venturesからの資金を使って技術開発を進め、年内にはEmefcyの技術を下水処理と産業廃水処理に商業ベースでフルに使える態勢を整える。廃水処理は全体として1000億ドル(約7兆7000億円)の産業だが、われわれの技術をもってすれば経済コストと環境コストを大幅に削減することができる」

GE、イスラエル重視の戦略:

Energy Technology Venturesの構成企業のひとつであるGEは、廃水処理の分野でも活発な事業活動を展開しており、その技術力を、いまや「水技術のシリコンバレー」と称されるまでになったイスラエルに重点的に振り向けようとしている。

イスラエルは、技術革新と科学的発見にかけては世界の英知が集まる重要な国のひとつで、GEは2011年6月、多分野にわたる最新の研究開発センターをヘファに開設した。このセンターでは、クリーン・エネルギー、水、および保健医療に関する技術の評価と研究のために、10人余りの研究者が雇用されることになっている。この新しいイスラエル技術センターは、現地の技術企業や大学等と協力し合い、最先端の技術をGEに導入するために重要な役割をはたすことになる。

今回のEnergy Technology Venturesを通した投資は、GEのビジネス・ユニットであるGE Energy Financial Servicesがおこなったもので、イスラエルでGE Energy Financial Servicesはこのほかにも、太陽光発電用のパワー・オプティマイザとモニタリング・システムのメーカー、SolarEdge(本社:Hod HaSharon)への投資をすでにおこなっている。SolarEdgeは太陽光発電のエネルギー効率とコスト効率を最大にする総合的なソリューションを提供している。

Emefcyについて:

Emefcyは2008年はじめに水技術の起業家Eytan LevyとRonen Shechterによって設立された。このふたりは、これもやはり廃水処理ソリューションを提供するAqWiseも設立している。Emefcyは、水技術においては最も将来性のある新興企業のひとつと目されており、Guardian’s Cleantech 100、Global Water Technologiesトップ10、Artemisトップ50などのランク入りをはたしている。

Energy Technology Venturesについて:

Energy Technology Venturesは、GE、NRG Energy、およびConocoPhillipsで構成される共同事業体で、次世代エネルギー技術の開発を中心に事業を展開している。広範でしかも奥の深い技術と財務の専門知識、各方面とのつながり、サービス、および製品をもつ市場最大手の3社が手を組み、まず北米、次いでヨーロッパおよびイスラエルを中心に、再生可能エネルギーによる発電、スマート・グリッド、エネルギー効率、石油、天然ガス、石炭、原子力、排出抑制、水、およびバイオ燃料の分野で、エネルギー技術に長けたベンチャー企業や成長企業に投資し、相互の協力による事業発展の機会を提供する。