中国広東省環境保護局は、2011年10月21日に「“十二五”主要汚染物質排出総量規制計画」(以下「計画」)を発表した。
同「計画」は、「国務院:“十二五”省エネ汚染物質排出削減総合取組み方案」、「環境保護部:“十二五”主要汚染物質排出総量規制計画制定指南」の指導方針に基づき広東省環境保護局が制定したものであり、「2015年までに化学的酸素要求量(COD)、アンモニア態窒素、二酸化硫黄、窒素酸化物の4つの主要汚染物質に対し、2010年の排出値を基準としてそれぞれ12%、13.3%、14.8%、16.9%の排出量削減を実現」といった目標を掲げている。こうした目標達成のため、同「計画」では関連重点分野と主要任務を明示している。
1. 新たな汚染物質排出源に対する厳格な規制
広東省の全地域範囲での電力、鉄鋼、製紙、捺染、皮革などの産業に対して、主要汚染物質排出総量規制を実施する。珠江デルタ地域(中国珠江河口の広州、香港、マカオを結ぶ三角地帯を中心とする地域。広州、深センなど9都市が同地域に含まれる)では、原則として火力発電ユニット、鉄鋼精錬、セメント加工関連プロジェクトおよび関連の既存生産拠点の新設、拡充を禁止する。
2. 水分野における汚染物質排出総量規制関連
都市部汚水処理施設の建設・運営管理を強化する。277箇所の新汚水処理施設の建設・拡充プロジェクトと40箇所の汚泥処理施設プロジェクトの実施、既存の汚水処理施設のグレードアップを促す。
化学関連産業などにおいて、生産能力の淘汰を進め、工業排水処理事業を強化する。
家禽・家畜の大規模な養殖による汚染の総合対策を実施する。
3. 大気分野における汚染物質排出総量規制関連
電力業界の脱硫施設のグレードアップを図り、排煙脱硝プロジェクトを実施する。
冶金、建築材、石油化学、非鉄金属加工などの重点産業分野および石炭燃焼炉における構造調整と排煙対策を強化する。
自動車排気ガス対策を実施する。広東省当局が2009年に公布したエンジン付き車両に用いられるガソリンに関する標準、「粤IV標準」を満たすガソリンを2015年までに広東省全域で供給するよう図る。更に、中古車の排除を進め、珠江デルタ地域においては、第12次5カ年計画の実施期間中、「黄標車」(排ガス国家基準を満たしていない車両)の使用を全面的に取り締まる。
また、同「計画」では、全地域における汚水処理費制度、階段式水料金制度の全面的な実施も明らかにされている。