中国国務院は、2011年12月15日付けで「国家環境保護“十二五”計画」(以下「計画」)を公表した。同「計画」は、中国第十二次五カ年計画実施期間中(2011年―2015年)の環境保全事業の科学的な発展の促進、資源節約型・環境友好型社会の構築促進を目的として策定された。
「計画」では2015年までの目標として、主要汚染物質排出量削減、水質向上、重金属汚染に対する管理推進、都市部における環境インフラの整備およびその運営力の向上、環境問題の状態把握、核・放射能管理、環境監督・管理システムの健全化を掲げている。
また主要業務として、化学的酸素要求量やアンモニア態窒素排出量など主要汚染物質排出削減の推進、水質汚染や大気汚染など深刻な環境問題の解決、化学品関連リスク予防システムの健全化など重点分野における環境リスク予防の強化、環境保全に係るインフラの健全化といった要点を明確にしている。同「計画」では、これらの目標達成と業務遂行に要する総投資額に関して、“十二五”期間中に約3兆4000億元(約41兆円)に達すると予測している。
更に同「計画」では、重点プロジェクトとして以下の8つを挙げている。
- 主要汚染物質排出削減プロジェクト(都市部生活排水処理・汚泥処理事業、工業排水対策、大気汚染対策など)
- 環境改善保障民生プロジェクト(流域水汚染対策、地下水汚染対策、土壌汚染修復など)
- 農村環境保全恵民プロジェクト(農村環境総合対策など)
- 生態環境保全プロジェクト(自然保護区建設、生物多様性保護など)
- 重点分野環境リスク防止プロジェクト(重金属汚染予防、危険化学品汚染防止、危険廃棄物の無害化処理など)
- 核と放射能安全保障プロジェクト
- 環境インフラ公共サービスプロジェクト(都市部生活汚染、危険廃棄物施設整備、飲用水水源地安全保障など)
- 環境監督・管理能力の向上および人材育成プロジェクト
「計画」では、政策健全化を目指した12項目の措置を挙げている。これらの措置には、環境目標責任制の徹底、環境保全産業の発展、環境経済政策の健全化、関連法体制構築の推進、部門間協力の強化などが含まれている。
同「計画」は、第十二次五カ年計画における環境保全分野での中国政府の指針ともなる重要計画と捉えられており、大きな注目を集めている。