ブダペスト市、水道事業をSuezとRWEから買い戻しへ

ハンガリーのブダペスト市議会は2012年4月2日、同市の水道事業会社Budapest Water Worksの株式の25%をSuez EnvironmentとRWEから買い戻す基本合意を承認した。この25%は、1997年に当時の市営水道事業会社だったBudapest Water WorksからSuezとRWEが25年間の経営権とともに買い取ったもので、現在は両社の共同事業体であるHungáriavízが保有している。

1997年の25%買い取りの際に交わされた契約では、ブダペスト市が165億フォリント(現在の為替レートで約60億9000万円)で株式と経営権を買い戻せる条項がはいっていた。ブダペスト市のIstván Tarlós市長によると、今回、同市とSuezおよびRWEの3者が交わした仮契約では、買い戻しの金額が151億フォリント(約55億8000万円)となっており、これは契約上の金額よりも14億フォリント(約5億2000万円)安い。

この買い戻しの詳細は、そのための資金の手当ても含めて、市議会の承認を得る必要がある。その後3ヵ月以内に、3者は正式契約を交わすことになっているが、その期限内に合意が得られない場合は、ブダペスト市は1997年の契約にあった上記の特別買い戻し条項による権利を行使することになる。

市にとっては10年間で120億円の節約に――民営化事業のさらなる買い戻しも:

今回の買い戻しの資金は、ユーティリティ企業などに課す新税と、それにおそらくは借入金によってまかなわれることになるが、ブダペスト市では、水道事業をもとの市営にもどすことによって、運営委託料を浮かせることなどで向こう10年間に330億フォリント(約120億円)を節約することができるとしている。

ブダペスト市議会がこの買い戻しの手続きを開始したのは2012年2月のことで、契約を打ち切る理由として、消火栓のメンテナンスを怠ったという問題を挙げていたが、実際にはこの買い戻しは、1990年代から2000年代にかけて民営化されたユーティリティの経営権を取り戻すという既定の戦略の一環でもあり、次に控えているのは下水道会社Fõvárosi Csatornázási Mûvekの買い戻しである。

SuezとRWEの共同事業体は、この水道事業に165億フォリントの初期投資をして、1997年から2011年までのあいだに350億フォリント(約130億円)の利益をあげた。ブダペスト市による契約打ち切りがなければ、2022年までにさらに300億フォリント(約110億円)の利益を得てから契約終了となり、ブダペスト市が25%の株式を買い戻すことになっていた。

Suezのプレス・リリース:

Suez Environmentは2012年4月17日、同社とRWEによるブダペスト市の水道事業を同市が買い戻すことを報じるプレス・リリースを発表した。そのなかでSuezは次のように述べている。

1997年以来、SuezとRWEはブダペスト市民に提供するサービスのレベルを大幅に改善してきた。両社は、市の配水設備のほとんどを改修するための巨額の投資にもかかわらず、ハンガリーの平均を下回る料金で、ヨーロッパの基準を満たす水道サービスを200万のひとびとに提供してきた。

今回の友好的な合意は、上水道の経営を直接おこないたいというブダペスト市の希望により、これまでの契約の枠内でなされたものである。

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