ロシア政府は2012年4月19日、「2012~2020年に向けた一連の水ビジネスの展開」と題するプログラムを採択した。目的は、新たに約600万人の住民の上下水道へのアクセスを確保すること、そして河川に放流される汚水の量を現在の2分の1へ削減することだ。このために約3600ヵ所の水質検査実施機関の整備、貯水槽の設置、堰や排水溝などの再建工事、全長1600キロメートルにおよぶ堤防強化対策といった広範な施策が用意されている。
具体的なプロジェクトの一例を挙げると、ノヴォシビルスク(Novosibirsk)では2012年から2013年にかけて全長約2.7キロメートルの護岸工事が予定されている(総費用:600万ユーロ)。さらに2012年から2014年にはSosnowka地区の2.3キロメートル長の貯水施設整備に向けて500万ユーロが予算化されている。またサンクトベテルブルクならびにその周辺地域においても一連の大規模プロジェクトが計画されている。サンクトペテルブルク水公社Wodokanalによると、2011年の市内の下水の再処理率は約95%に達しており、2015年までにはこれを98%にまで引き上げる予定であるという。
なお、今回採択されたプログラムの枠組みで投じられる資金総額は2020年までに140億ユーロ(約1兆4469億円)にのぼる。主な資金源は連邦予算から2917億ルーブル(約7727億円)、地方自治体予算から1081億ルーブル(約2864億円)、そしてそれ以外の非国家予算から 1232億ルーブル(約3264億円)となっている。
ロシアでは、一般家庭ならびに企業における水供給・下水処理事業は各自治体の公社の管轄となっている(一部で民間業者が請け負っているケースもあり)。国内最大の公社であるRoswodokanalは2011年末、7地域(Kaluga、Tjumen、Orenburg、 Barnaul、Twer、 Omsk、 Krasnodar.)における下水道近代化工事を目的として、欧州復興開発銀行(EBRD)から3,500万ユーロ(約36億円)を超える貸付金を受けている。