水質改善、水資源の保護、水の汚染および過剰使用の削減などを目的とし、8年間にわたり5230億ルーブル(約1兆3800億円)の予算を計上した新たな連邦政府プログラムが、2012年4月23日にロシア政府から公表された。2012年4月19日にプーチン大統領が政令にサインし、4月23日に経済開発省が最終文書を公表した。経済開発省と財務省が連邦予算内に同プログラムを入れるよう、同政令で指示されている。公表文書によると、同プログラムは2012年から2020年にわたって施行され、飲料水の提供、水利用効率の向上、汚染の削減、水資源の保護、最新の水域管理手法の開発などの項目が盛り込まれている。
水利用効率の向上:
水利用効率の向上は同プログラムの主要目標である。プログラム文書では「ロシア連邦の国内産業の水使用量は、ドイツ、フランス、アメリカ、カナダなどの他の先進国よりもはるかに多く、この水の使用量の多さは、工業や農業において水集約の高い経済であることを示している」と述べている。
もう一つの重要な問題として、不十分な廃水処理が挙げられ、排水中に含まれる廃水の割合を、2012年の88%から2020年には45%に削減することが目標である。「水汚染の主要因は、パルプ・紙、化学物質、金属、印刷、コークス生産、石油精製、鉱石、石炭採掘などの産業である」と同文書内で示されている。
また、水の循環および廃水処理設備の最新化には240の個別プロジェクトがある。同プログラムによると、これらプロジェクトに関わる企業に対しては、政府は低金利のローンを提供する予定である。
汚染除去と監視水域の拡大もまた主要目標である。汚染水域での生態系回復プログラムには、不純物の除去、廃水からの保護、植林が含まれている。一方、監視システムの範囲は、2012年の7%から2020年には85%へ拡大することを見込んでいる。
地方自治体の支援:
目標達成のために、ロシア政府は地方自治と協同してプログラムを進めていく予定である。2012年1月のRossiskaya Gazeta紙のインタビューで、連邦水資源大臣のMarina Seliverstova氏は、同プログラムは水資源管理の全体目標と、政府内の全ての個別目標を繋ぐことになるだろう、と述べた。このため、政府当局はプログラム目標達成に向けて、適切な地域に対して適切なプログラムを作成していく。