イラン政府は、2012年4月16日、カスピ海の水を広大な砂漠の中の都市に供給するための10億ドル(約800億円)に及ぶ大規模プロジェクトの第1フェーズを開始した。発表によると、人口20万人の砂漠の都市“セムナーン”に水を供給するため、最初の2年間は、海水淡水化プラントおよびパイプラインの建設に充てられる。カスピ海から取水した塩水を淡水化し、150 km離れたセムナーン州に輸送し、飲料水・農業用水・工業用水として利用されることを見込んでいる。イランのエネルギー大臣のMajid Namjou氏によると、最初に建造予定の淡水化プラントは、2億 m3/年の供給が可能であるとのことだ。
本プロジェクトの運営は、イラン革命防衛軍の産業部門であるKhatam al-Anbiyaグループによって行われる。プロジェクトの第2、第3フェーズでは、カスピ海だけでなくペルシャ湾からも取水し、他の砂漠地帯にも淡水を供給していく予定である。
イランは、他の地域でここ数十年にわたり、いくつかの淡水化プラントを運営してきており、UAEやサウジアラビア、イスラエルなどの財政力がありかつ十分な量の淡水が得られない他の中東諸国においても、同様の淡水化施設が稼働している。
※Khatam al-Anbiya(http://www.khatam.com/ HPはペルシャ語表記)
・イラン国籍の建設会社。
・全従業員2万5000人のうち約10%は、イラン革命防衛軍にも所属している。